映画『カーズ』ピストンカップの「キング」のモチーフとなった車が3700万円オーバーで落札! プリマス「ロードランナー スーパーバード」とは
伝説の怪鳥! プリマス スーパーバードとは?
1970年シーズンに向けて、クライスラーは大成功したダッジ チャージャー デイトナの次期モデルとして、プリマス「ロードランナー」のエアロカー「スーパーバード」をデビューさせる。スーパーバードは、1年前にフォードに移籍したNASCARの帝王、リチャード“キング”ペティを、プリマス・ファミリーに呼び戻すことだけを目的としていた。 ベースとなるロードランナーは、ワーナーブラザーズ/ルーニートゥーンズのTVアニメキャラクター、路上を猛スピードで走る小さな鳥の名前から付けられたもの。いつも失敗の連続でショボくれたコヨーテと、彼をからかうような「Beep, Beep!」という鳴き声とともにアメリカ荒野の道を逃げ回る鳥を覚えている向きも多いだろう。 そのロードランナーのスーパーバージョンだからスーパーバード。これが伝説の怪鳥の由来である。 この追加生産はNASCARのレギュレーション一部改定に伴い、1970年1月までに計1500台を生産しなければならなかったため。そこでスーパーバード市販モデルは、チャージャー デイトナとほぼ共通のデザインとされたが、1000台を超える生産性を考慮して、ノーズコーンがスチールとされるなどの改良も行なわれていた。 スーパーバードのパワーユニットは、いずれもビッグブロックV8の3種。シングル4バレル式キャブレターを搭載し375psを発生する「440スーパーコマンド」が標準指定とされ、3基の2バレル式キャブで390psを発生する「440スーパーコマンド シックスバレル(通称シックスパック)」、そして排気量を当時のNASCARレギュレーションに対応して縮小させるかたわら、より効率の高い半球形燃焼室で431psをマークする「426 ヘミV8」エンジンが、ホモロゲート用にごく少数のみ用意された。
総生産台数は1920台がリリースされた
こうして誕生したロードランナー スーパーバードは、前年のチャージャー デイトナの活躍もあって、正式発売前からマーケットでの評判は上々、結局1920台ものスーパーバードがラインオフされるに至った。 そしてプリマス・ワークスの目論みどおりNASCAR「グランドナショナル・シリーズ」の1970年シーズンはスーパーバードの一群によって文字通り制圧されてしまったのである。 ところが、この華々しい戦果が逆に仇となって、スーパーバードの落日は意外なほど早く訪れることになる。1971年シーズン開幕からNASCARの最上級カテゴリーが「ウィンストン・カップ」へとシリーズ名を変える(2003年まで継続)のと時を同じくして、泥沼的な空力モディファイ合戦の発生を危惧した主催者側の判断によって大規模なレギュレーションの改定が行なわれたのだ。 この新レギュレーションでは「エアロカー(フォード トリノ GT タラデガ、マーキュリー サイクロン スポイラーII、ダッジ チャージャー500&チャージャー デイトナ、プリマス ロードランナー スーパーバードの5機種)」は、エンジン排気量を従来の最大430cu.in.(約7.4L)から305cu.in.(約5.0L)まで制限されることになっていた。 これはパワーがモノをいうオーバル・レースにおいて、実質的にはサーキットから締め出されたにも等しい過酷な裁定だったのだ。
【関連記事】
- 【画像】大きなエアロパーツに注目! プリマス「ロードランナー スーパーバード」を見る(全57枚)
- ◎懐かしの『ウルトラセブン』に登場した「ポインター号」を再現! 33年前に約300万円で仲間と製作…1年かけて公道走行可能な車両に仕上げました
- ◎日産「スカイライン ジャパン」で『西部警察』の「マシンX」を完全再現!! 全国を探して見つけ出したカンパニョーロ製のゴールドホイールが一番のポイントです
- ◎『西部警察』の「スーパーZ」をフルレプリカ! 再現しすぎて「あまりにも乗りにくいので現在はイベント時のみ出動します」
- ◎大雪に備えて「ワイパーを立てる」「サイドブレーキは引かない」のは本当に正しい!? 冬に駐車するときのお約束の理由を解説します