【マイルCS回顧】ソウルラッシュが悲願のGⅠ制覇 6歳で優勝は実力の証、“先輩たち”同様さらなる飛躍に期待
前半の適性が出たチャリン
2着エルトンバローズは昨年、毎日王冠で古馬を撃破し、上位人気で挑んだマイルCSは4着止まり。今年は毎日王冠3着から参戦し、2着と気を吐いた。1800mなら先行できるが、マイル戦となると差す形にならざるを得ない。昨年と同じ流れであっても、今年は最後まで伸びてきた。進化を感じる内容だった。 ディープブリランテ産駒らしく切れ味より持続力勝負に長けており、昨年より序盤から流れたのも味方した。11秒台が並ぶラップ構成に強い、いわゆる4ハロン型。5ハロン勝負にも対応しつつある。母の父ブライアンズタイムであり、もう少し時計がかかると前進が見込めそうだ。 3着ウインマーベルはスプリンターズS5着から穴をあけた。スプリンターズS5着以下から好走したのは、2011年11人気2着フィフスペトル以来のこと。同馬はその2走前に京成杯AHを勝っていた。ほかに好走したのは2頭。ゼンノエルシド、スズカフェニックスとどちらもマイル重賞Vがある。一方、ウインマーベルは実績的には1400m止まり。それどころかマイル戦は今回初出走だから大したものだ。 連覇を狙うであろう阪神Cは前走マイルCS敗退からの巻き返しが目立つレースだが、3着馬も【1-0-1-2】。同じローテで挑んだスズカフェニックスが勝利を飾っている。今年は同じ京都外回りでもある。連覇のチャンスは広がった。 対して、今回連覇を目指したナミュールは17着。異変を察知したC.デムーロ騎手が無理をしなかった。走らせるのが騎手なら、止めるのも騎手。鞍上の判断は尊重されるべき。大事に至らなくてよかった。 1番人気ブレイディヴェーグは4着。直線で少しさばきに苦労した。前半から流れるマイル戦だとやや走りに余裕がないようだ。久々に海外から参戦したチャリンは5着。今年の欧州トップマイラーらしく最後は意地を見せ、猛然と突っ込んできた。やはり、日本の競馬はゲートから中盤までが速く、前半の適性が影響したとみる。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳