「紹介してくれたら150万円」老人ホームが入居してほしい高齢者とは 過剰な訪問看護で得た診療報酬が原資に…医療費が流出している?
NPO法人や個人が運営している場合もあり、少なくとも全国に約500の事業者がいる。紹介するのは、それぞれが提携している老人ホームであることが多い。 紹介会社は、1人入居するごとにホーム側から紹介料を受け取る。相談者からは料金を取らないのが一般的だ。老人ホームは厚労省の管轄だが、紹介事業を所管する省庁や法律はなく、必要な免許や資格もない。紹介料の設定は契約に委ねられているため、いくら高額でも違法ではない。 ▽大阪では入居者を取り合い では、紹介料の相場はどうやって決まるのか。例えば、その地域の高齢者の人数に対し老人ホームが多ければ、ホーム同士で取り合う形になるので、「高い紹介料を払ってでも入居者を獲得したい」ということになる。 東京都内のある紹介会社は、東京と大阪の紹介料の違いはまさにそこにあると説明する。「東京は入居ニーズがホームの供給を上回っているが、大阪は供給過多。需給バランスの違いがある」と話した。 実際、パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」で働く関西の看護師は「入居者の取り合いになっている」と証言する。
PDハウスは、金沢市に本社を置く「サンウェルズ」という東証プライム上場企業が運営していて、各地に約40カ所ある。PDハウスを巡っては、共同通信の取材に対し10人以上の看護師らが「入居者向けの訪問看護で不正や過剰な診療報酬の請求をしていた」と証言している。 関西の看護師が「取り合い」の相手として名前を挙げたのは、同業の「スーパー・コート」。関西大手の同社でも、複数の現・元社員が過剰な訪問看護や報酬の不正請求を指摘している。 ▽厚労省が是正求める通知 「過剰な訪問看護は老人ホーム業界のあだ花。高額な紹介料はさらにその上に咲いたあだ花だ」。ある業界関係者は現状をそう表現する。 難病などの患者ではそれだけ高額の紹介料が得られるため、患者が病院から老人ホームに移る際、さまざまな調整業務を病院に代わって紹介会社が行うケースもあるという。 病院にとっては負担が減るため、退院調整の担当部署が患者に老人ホームを直接紹介するのではなく、「『紹介会社を紹介する』という事態が一部で起きている」。関係者はそう明かす。