「紹介してくれたら150万円」老人ホームが入居してほしい高齢者とは 過剰な訪問看護で得た診療報酬が原資に…医療費が流出している?
介護保険サービスもフルに利用してもらえば、入居者1人当たり月100万円以上がホーム運営会社に入るとされる。 つまり通常の高齢者とは違い、別表7、8に当てはまる人の場合は150万円の紹介料を払っても、採算が取れるというわけだ。ただ、医療費が目的外の紹介料として流出している形になる。 ▽「人身売買みたい」との声も 「過剰な訪問看護で稼ぐことが前提で、一部の会社が紹介料の相場をつり上げている」と梅沢さん。 梅沢さんの会社とやりとりした紹介会社に取材すると、「150万円以上のケースはごくわずかだ」とした上で「紹介料はホーム側の判断で設定されている」と回答。「ホーム側は空室状態が続くと機会損失が生じるため、できるだけ早く埋めたいという考えが生じる」と指摘した。 共同通信は、大阪府内のある老人ホーム運営会社が2022年に紹介会社へ送ったチラシも入手した。要介護度が4、5と重度で訪問看護を毎日3回提供できる難病や末期がんの人については「紹介料を40万円から100万円にアップする」として、入居者を集めていた。
ある看護師はこうした状況に「人身売買みたい」と眉をひそめる。 一方、不思議なのは「ここまで紹介料が高騰しているのは大阪など関西だけだ」と関係者が口をそろえることだ。別表7、8の人でも、東京など首都圏の相場は20万~30万円程度だという。なぜ大阪ではそんなことになったのか。 ▽紹介業には資格や免許は必要ない それにはまず、老人ホーム紹介事業がどんなものなのか説明が必要だろう。 そもそも老人ホームに入る際、必ずしも紹介会社を通す必要はない。自分で探したり、入院先の病院やケアマネジャーから紹介してもらったりして、入居先を決める人も多い。 特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)は、基本的に紹介会社は使わない。民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が紹介会社の主な対象だ。 ただ、一口に「老人ホーム」「高齢者住宅」と言っても、今やいろいろなタイプがある。「どこを選べばいいのか分からない」という人は多い。そういう人の相談に乗り、適したホームへ橋渡しするのが紹介会社の役割だ。