夫の死後、5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ”
タイムリミットは10ヵ月
過去の記事でお話した通り、相続手続きは「進むべきルート」と「順番」が決まっているので、「山登り」に例えることができます。身近な方が亡くなると相続人は「相続山」を登り始めなければならないのです。 具体的には、まず相続山1合目の役所手続きを行いますが、その中でも「死亡届の提出」は、亡くなってから7日以内に行う必要がある手続きです。そして、この死亡届の提出をきっかけに、税務署は相続の発生を知ることになるのです。 すると、死亡の通知を受けた税務署は、亡くなった方がどれくらい遺産を持っていたかの調査を開始します。具体的には、過去の確定申告の情報などを元にその方の年収を把握し、固定資産税の支払いなどから土地や建物をどれだけ持っていたかを把握するのです。 佐藤さんご一家の場合、遺産総額はご実家の土地・建物と預金を合計して5,200万円あまりに上っていました。 そして、遺産が多いにも関わらず(計算方法は後編で紹介します)、なかなか相続税の申告書が提出されない場合、税務署は死亡から半年を過ぎた辺りから「相続税の申告についてのお尋ね」という書類を相続人に郵送するのです。 「もしもし、相続税の申告をお忘れではないですか?」と。 この封筒の中には、「相続税の申告要否検討表」という書類が入っていて、自分で遺産の総額を計算させるようになっています。遺産総額が一定金額以下の場合には、相続税の申告は不要ですので、この検討表を埋めて税務署に返送すれば終了です。 しかし、遺産の総額が一定金額を超える場合には急いで相続税の申告書を作成して、税務署に提出しなければなりません。相続税の申告期限は亡くなった日の翌日から10ヵ月以内ですので、何としてもその期限までに間に合わせる必要があります。 相続税の申告期限に間に合わなかった場合、様々なペナルティがあります。佐藤さん一家はその後、どうなったのでしょうか。 その詳細とペナルティの詳しい解説は後編<知らないと大損…! 親の財産を知っておくことが「これだけ大事」と言える理由>でお届けします。
石倉 英樹(相続専門の公認会計士・税理士)