美しき肉の世界。EXILE SHOKICHIが手がけた招待制イベントの全貌
MEAT MANIA JAPANが目指すもの
コース料理もいよいよ終盤。肉の匠・畑敬四郎氏が育てた特産松阪牛を極上のスパイスで更なる高みに昇華させたのが、京都の中華料理の名店『齋華』の齋藤博人シェフである。 「サシではなく味わいを意識して牛を育てる」という畑氏の想いの詰まった松阪牛。その凝縮された旨味を最大限に引き出し、唯一無二の「水煮牛肉」(肉を油入りの汁で煮込んだ四川料理)を完成させたシェフの手腕に脱帽させられることに。 6品目の主役は伝説の精肉店『サカエヤ』の肉の匠・新保吉伸氏が「手当て」した吉田牧場のブラウンスイスの経産牛。その肉を静岡の人気鰻店『瞬』の岡田健一シェフが究極のメンチカツに仕上げた。匠の手によってストレスをしっかり抜かれた牛は、まるで仔牛に還ったかのようなピュアな甘味をたたえていて、あえて粗目にミンチすることでその甘美なフレーバーが更に際立っていた。 〆はEXILE SHOKICHIがこよなく愛するラーメン店『飯田商店』の飯田将太氏による「らぁ麺」だ。2時間以上かけて取った八将牛の出汁のスープが主役で、ワンタンの中には八将牛と松茸が隠れている。凝縮感と共に澄み切った透明感を持ちあわせた究極の一杯に、生産、流通、調理にかかわる様々な人達との熱意と情熱が濃縮されていることを実感し、またとない食体験となった。 今回、ワインペアリングもEXILE SHOKICHIが監修した。サントリー登美の丘ワイナリーに自ら足を運び、造り手の想いを聞き、試飲を重ねて選び抜いた日本ワインの数々は、テロワールを映し出す華やかな果実味と滋味にあふれている。「いい音楽と同じで、いいワインも共有したくなるんです」と語る彼のワイン愛が滲むラインナップには、ブドウ栽培から飲み手に届くまでの人の手のぬくもりさえ感じられてきた。 ■MEAT MANIA JAPANが目指すもの 日々の食事は、様々な人たちの尽力によって成り立っている。そのバトンはどの過程に欠けても成立しない。MEAT MANIA JAPANが扱うのは、本来は「いのちの授業」とも言われるシリアスなテーマなのかもしれない。しかし、この奇跡を味わえる喜びを明るく捉え、「バトンを繋いでくれた人々に想いを馳せ感謝していただく」という食す側にとって必要不可欠な概念を、このイベントは軽やかに再認識させてくれた。 そのバトンは横軸のみならず縦軸にも繋がっていて、このカルチャーを未来に発展させ次世代に継承していくという大望もあるという。 EXILE SHOKICHIは、「命のリレーというテーマを基に、更にたくさんの方々とその喜びや美しさを共有していけたらと考えています。今回は東京がベースでしたが、全国各地に広げていきながら、生産者や牧場を巡るツアーなども企画していきたいですね」と熱く語る。 MEAT MANIA JAPANの大プロジェクトは、未来図を俯瞰しながら、いま始まったばかりだ。
瀬川 あずさ