厳しい尋問に加え虐待も…非人道的な扱いを受けるパレスチナ人囚人の現状をガザ駐在員が解説
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「Newglobal」のコーナーでは、イスラエル軍に拘束されているパレスチナ人の熾烈な状況をJVC(日本国際ボランティアセンター)の現地駐在員に伺いました。 ◆非人道的な扱いを受けるパレスチナ人囚人 イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザで軍事作戦を続ける一方、これまで多くのパレスチナ人を拘束。現地ガザで活動を続ける日本のNGO「JVC」のエルサレム事務所駐在員・渡辺真帆さんによると、そのほとんどが抗議活動や敵対組織に参加した政治犯だとか。 渡辺さんは「参加だけでなく同調というのは、例えばFacebookに何かを書いたりとかも当てはまる可能性がある。(パレスチナ人には)市民活動の自由がない。西岸のパレスチナ人の4人に1人が逮捕された経験があると言われている」と言います。 パレスチナ人の拘束は、ガザへの攻撃開始以降深刻化しており、逮捕者は去年10月以降で約1万4,000人。そして、彼らを罰するイスラエルの軍事司法には“行政拘禁”という大きな問題があり、渡辺さんは「これは起訴や裁判なし、つまり何をしたかわからない状態で半年間拘束できる。しかも、それが何回でも(拘束期間を)更新できる信じられない悪法」と危惧します。 現在もパレスチナ人は毎日数十人が逮捕され、逮捕後には厳しい尋問に加え“ゆっくりとした殺人”と言われるほどの苛烈な虐待があるとか。着替えられない、トイレに行けない、シャワーもできず、さらには手足を縛られた状態で放置されたり、ずっと立たされ横になれないといったことも。また、夜には強く明るい電気をあて眠らせなかったり、寝たら暴力をふるったり、ひいては手錠足錠を長時間ずっときつく縛られたため、解放後には手足の切断を余儀無くされたこともあったといいます。 国連の報告書によると、去年の10月7日から53人が刑務所あるいは収容所で亡くなっています。 こうした状況に、キャスターの堀潤は「日々の報道では伝えられない現状」、「イスラエルは民主国家だが、現場では非民主的な拘束がまかり通ってしまっている」と悲嘆。 経済アナリストの池田健三郎さんも「非民主的であると同時に非人道的で、国連が非難し、是正を求めても一切聞く耳を持たない状況が続いている。それが新しい時代の今起こっていることに暗澹たる思いにならざるを得ない」と共感します。 また、「国際社会が常にフォローし、事後的にもきちんと責任を問うことや、こういう問題があることを常に発していくということをやり続けるしかないが、諦めに近い感情が蔓延しつつあると思う」とも。 ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは「囚人を大量に拘束し、ネタニヤフ政権は何をしたいのか? そういうことによってヘイトの悪循環が深まるばかりだと思う」と疑問を呈します。そして、「結局、囚人をトレード用のものとしか見ていないような気がして、非人道的でよろしくない」と非難。 過剰な入植や非人道的行為などイスラエルの蛮行については支援国家アメリカも抗議していますが、「The HEADLINE」編集長の石田健さんはイスラエルの政治体制に言及。「イスラエルは比例代表制をとっているが、その制度的な問題として極端な政策を主張する政党の台頭を許してしまう。イスラエルもその現象に陥っていて、より極右的、右派的な政策を選んでいる」と指摘します。 もちろんネタニヤフ政権、リーダー自身にも問題はありますが、イスラエルという国が抱えている制度にも大きな問題があるため、「制度として是正できることを我々は訴えていかないといけない」と石田さん。 最後に堀は、本当の意味で人道を掲げた中立的な軍事的圧力を持つスキームの必要性や安保理の承認がないと平和維持活動のための軍も出せない現状を鑑み、国際社会の秩序のあり方に関して、より議論が深まることを望んでいました。