「あんた今しんどいやろ」患者に言われ号泣した看護師 こころを病みながら働く人が多すぎる現実「支えるには訪問看護しかないと」
── 利用者さんの家に伺うときには、ナース服ではなく、カジュアルな服装で出向くようにしているそうですね。 中野さん:利用者さんのなかには、「訪問看護のケアを受けていることを周囲に知られたくない」という人も少なくありません。本人が望む環境を整えることが、私たちの役割です。それに、看護師と話すと思うと、つい身構えてしまったり、何をしゃべったらいいかわからなくなってしまう方もいらっしゃいますから、ナース服は着ません。距離を感じてほしくないので。利用者さんには、「私たちはあなたの一番近くにいる仲間です。味方が一人増えたと思って、安心していろんな話をしてくださいね」とお伝えしています。
PROFILE 中野誠子さん なかの・せいこ。1980年、熊本県生まれ。高校卒業後、精神科の看護師として5年勤務。その後、重症心身障害児施設、看護学校の教員を経て、訪問看護ステーションで働く。2022年7月に仲間と共同で「Make Care」を創業し、代表取締役社長に就任。同年11月、大阪市内全域を対象に、精神科に特化した訪問看護ステーション「くるみ」を立ち上げ、運営。 取材・文/西尾英子 写真提供/中野誠子
西尾英子