「3密」が大賞 2020年流行語大賞表彰式(全文1)人間関係を深く思う1年だった
スポーツの戦いではなく、免疫力とウイルスの戦いに
辛酸:去年の今頃は、今年の流行語はオリンピック関連の言葉で埋め尽くされてるだろうなと予測していたんですが、それが、オリンピックというスポーツの戦いではなく、人体の中の免疫力とウイルスの戦いというふうになってしまったというのがすごく驚きであり、それはちょっと悲しいことだったんですが、そうですね、そんな中、少しでもポジティブなものを感じられる言葉はないかということで、選考会で話し合っていたんですが。 例えばそうですね、3密という分かりやすい言葉だったり、あとは、そうですね、アベノマスクという、実質的に国民全員が思って大流行になったものだったり、あとそういう脱力した笑いをもたらしてくれたアイテムとか、あと、そういう、アマビエだったり、そういったものがちょっとポジティブに、コロナの中でもそういうちょっと気休めじゃないですけど、そういった言葉がありました。あとは、やっぱりこういう時代だから、ミーハーになって、例えばもう『鬼滅の刃』とか『愛の不時着』とか、どんどんはやってるものに取りあえずはまることで不安を忘れられるということを実感したという1年でもありました。 そして、そうですね、流行しているものは何か、よく流行で検索して調べてたんですけれども、今年は本当に流行って調べるとコロナしか出てこなかったので、あらためて流行という言葉の本当の意味についても考えさせられた1年でした。以上、辛酸と申します、よろしくお願いします。 宮本:はい。
「5つの小」の次には七色の幸せが来てほしい
外川:はい。漫画家、コラムニストの辛酸なめ子選考委員でした。続いて、歌人の俵万智選考委員ですが、本日はご欠席です。選評を紹介させていただきます。大方の予想どおり、新語・流行語にもコロナウイルスは蔓延していた。言葉は時代を映す鏡なので当然のことではあるが、なんとかその感染を免れた言葉が少しでも入るといいなと思った。トップ10の中には、一見コロナとは関係ない語もあるにはある。けれど、ステイホーム中に、沼にはまったとか、世の中が沈んでいるからこそ、この明るさが救いだったとか、やはり遠因にはコロナがありそうだ。3密、「5つの小」の次には七色の幸せが来てほしい。俵万智選考委員の選評を代読いたしました。 それでは続いて、女優でエッセイストの室井滋選考委員、お願いいたします。 室井:皆さんこんにちは、室井滋です。そうですね、連休ぐらいまで、もしかしたら、5月の連休ごろまで、ひょっとしたらこういう会もできないんじゃないかというふうにユーキャンさんのほうから言われておりまして、それが夏ぐらいになって、なんとかできる形でやりたいというご連絡をいただいて今に至るわけなんですけれども。 その間に、先ほど辛酸さんもおっしゃったように、オリンピック、本来ならね、あるはずだったものがなくて。今日、もしかしたらここにスポーツ選手がいっぱい、こぞって出てきてくださったかもしれないのに、それも本当に夢の夢というふうになってしまいました。 で、この東京會舘で久しぶりに選考会をやったときに、私たち果たしてここで今回どうやって選考会をやるのかなと、それも分からないまんまやってまいりましたところ、すごく、もうゴージャスな大きなお部屋に、ああいうパネルがいっぱいしてあって、結構そこでおいしいものもいただきながら、正直、結構、楽しみながらアットホームな感じで選考会をやらせていただきました。ただし、やっぱり出てくる言葉は全部コロナ関連の言葉ばかりで、こんなにコロナ関連の言葉で埋め尽くされるんだなというふうに、正直みんな、困ったことになったなという感じでした。