アカデミー賞のドレスで再注目の「ロダルテ」 デザイナー姉妹が「正当に評価されていない」と感じる理由
同世代のアメリカブランドには、02年設立の「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」や今年20周年を迎える「トリー バーチ(TORY BURCH)」がある。またロサンゼルスのつながりで言えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」前メンズ・アーティスティック・デザイナーで「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の創業者ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)や、「モスキーノ(MOSCHINO)」のクリエイティブ・ディレクターだったジェレミー・スコット(Jeremy Scott)といった、ビッグメゾンに抜擢された男性デザイナーがいる。
女性デザイナーが活躍する難しさを痛感
メトロポリタン美術館(METROPOLITAN MUSEUM OF ART)のコスチューム・インスティチュート(COSTUME INSTITUTE)は12月、ファッション業界における女性のデザイナーの仕事にフォーカスした展覧会「ウィメン・ドレッシング・ウィメン(Women Dressing Women)」を開催。「ロダルテ」の作品も展示されているこの展覧会や、23年9月に退任した「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のクリエイティブ・ディレクター、サラ・バートン(Sarah Burton)の後任に男性デザイナーのショーン・マクギアー(Sean McGirr)が起用されたことをきっかけに、ファッション業界における性差別や欧州のラグジュアリーブランドを率いる女性デザイナーの少なさに関する対話が増えているが、マレヴィ姉妹はこれを痛感しているという。その一例として、キャリア20年にして一度だけ、大手メゾンからクリエイティブ・ディレクター候補として声を掛けられたときのことを挙げた。
「たった一回の会話でそぐわないと判断され、とてもショックだった。私たちは最高の女優たちにドレスを提供し、すばらしい衣装を作り、世界中の美術館に展示され、ショーも開催し、アーティストとも協業している。これらすべてを独立した企業として行ってきたし、人々は『ロダルテ』がどういうブランドであるかも知っている。自惚れるわけではないが、ほかに何が必要だというのか」。