マツダ カペラ ロータリークーペGS(昭和46/1971年10月発売・S122型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト066】
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第66回目は、スポーティなルックスでロータリーパワーをアピールした、マツダ カペラ ロータリークーペGSの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】 モーターのようにスムーズに吹け上がる12A型は、ロータリーの中でもマツダの主力エンジンの座を長年務めることになる。(全32枚)
風のような速さを見せつけたロータリーパワー。ケレン味のないスタイリングと合わせて人気に
昭和45(1970)年以降、東洋工業(現・マツダ)は「ロータリゼーション」を旗印に、積極的にロータリーエンジン戦略を推し進めた。その第一弾として同5月にベールを脱いだのが、ブランニューモデルのカペラ ロータリーだ。 マツダは昭和42(1967)年に世界初の2ローター・ロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツを発売し、その後、ファミリア ロータリークーペとルーチェ ロータリークーペを送り込んでいる。この3車に続く、ミドルサイズのロータリー搭載車がカペラだ。 カペラはマツダの創立50周年を記念して企画されたクルマでもある。エンジニアの英知を結集して開発され、帝国ホテルを発表会場に選ぶなど、すべてにおいて並々ならぬ意欲で東洋工業が送り出したモデルとなった。 ボディバリエーションは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類で、NA型4気筒エンジンを積むレシプロ・シリーズも設定されている。だが、カペラの主役となるのはもちろんロータリー搭載車だ。 スタイリングは、直線と曲面を織りまぜたダイナミックなものである。超音速ジェット機をイメージしたウエービングラインを採り入れ、ポップアップしたベルトラインや骨太のリアクオーターピラーを特徴とした。また、フロントとリアのフェンダーを絞り込み、ワイド感をアピールしている。 ヘッドライトはデビュー当初は角型だったが、昭和46(1971)年10月のGシリーズ登場を機に丸型4灯式に改められた。さらに先進的な接着式ウインドウの採用や昇降可能なクーペのリアクオーターウインドウなど、新しい装備を満載している。 インテリアもスポーティムードあふれるデザインだ。厚いクラッシュパッドのなかに3眼メーターを組み込み、GS(グランドスポーツ)には3本スポークステアリングやセンターコンソールを採用した。クーペのフロントシートは、ライバルに先駆けてウォークインシステムを導入している。 エンジンは、カペラのために開発された 12A型2ローター・ロータリーをメインに置く。基本的には10A型と同じだが、ローターハウジングの厚みを10mm増し、単室容積で573ccの排気量を得ている。また、排気孔をハニカムポートとして排気効率を上げ、トルク特性を改善した。性能的にも10A型ロータリーを大きく凌ぎ、最高出力120ps/6500rpm、最大トルク16.0kgm/3500rpmは、2Lのスポーティカーに匹敵する動力性能だ。 サスペンションもロータリーのために開発されたといえるものだ。フロントはトーションバー式スタビライザーを備えたストラット/コイル、リアは4リンク・ラテラルロッド式で、ダンパーも高圧ガス封入式のド・カルボン・タイプ(単筒式)を奢っている。これはオイル容量がアップでき放熱性に優れた特性を持つ。 ちなみに最高速はクーペが190km//h、セダンが185km/hだ。0→400m加速も5名乗車時に16.2秒を達成、2名乗車では当時のスポーツカー並みの15.7秒を叩き出した。