資産家の親の相続に悩む経営者、相続税の試算“数千万円”に思わず唸るも、最後は母親の目に嬉し涙…全員が幸せになった「3つの提案」とは【経営者専門FPが解説】
両親から受けた経済的支援を返済しないまま法人を経営する相談者から舞い込んだ「両親の相続税対策」についての依頼。不動産事業を個人で行う両親の資産にかかる相続税は数千万円……。今からできる対策とは? 本稿では、株式会社FPイノベーションの代表取締役・奥田雅也氏が、相談事例を基に解決のポイントを解説していきます。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
法人を経営している相談者「両親の相続対策がしたい」
ある日、過去に法人と個人で生命保険契約をお預かりしている経営者Aさんから、私の携帯電話に「相談があるので来てもらえないか?」と連絡が入りました。「両親の相続対策ができていないので、気になっています」とのこと。こちらの相談者の概要は以下のとおりです。 相談者:50歳代男性経営者 業種:小売業 年商:8,000万円 Aさんは3人兄弟の次男で、長男と妹がいます。両親は某県の地方都市に在住で、それなりに土地を持っている資産家で「いまは元気だからよいが、両親に何かあると相続でいろいろと問題が起きそうで心配」だと言います。 両親とは少し疎遠になっており、事業を始める際に経済的な援助をしてもらってはいるもののその返済は行っていない。また、毎年の年末年始に子どもを連れて帰省はしているが、一同が集まっているので金銭的な話や相続の話は一切できていないとのことでした。
相続を考えるために…相談者の法人経営状況
まずは法人の経営状況を確認するため、直前期の決算書と月次試算表を拝見しました。利益は多少出ているものの、借入金返済をした後のキャッシュフローはギリギリ+αで決して好調とは言えない内容です。ただ、いくつか明るい材料もあり、決して悲観する内容ではありません。 これを踏まえて私からAさんに、「一度、ご両親にこの資料を持ってご報告に行きませんか? 近くに来る用事があったので、と寄られてはどうでしょうか。そこで経営のことや相続のことを話し合われてはどうでしょうか?」とご提案しました。 しかし、私からのいきなりの提案に戸惑われた様子で「う~ん、考えてみます」とだけおっしゃられて、その日の面談は終わりました。 1週間ほど経過したある日、Aさんから「奥田さんが先日おっしゃった両親との面談ですが、いろいろと考えた結果、行こうと思っています。ただ厚かましいお願いなのですが、一緒に来てもらえませんか? どうも一人ではキチンと話せる自信がなくて……」とおっしゃられたので、二つ返事で「行きましょう!」とお答えしました。
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