大阪の町工場がGOTS認証取得 日本製GOTS製品の生産が可能に
社内共有の次はCSCSをともに取り組む企業へ協力を要請した。23年の1回目の監査では、生地を編み立てる和歌山の「津村メリヤス」「和田メリヤス」、染色の大阪「V-TEC」、生地の裁断を行う大阪の「白鳩メリヤス」、縫製を行う大阪の「田中メリヤス」、ボタンホールを縫う大阪の「イシカワ縫製」、仕上げの「浜崎プレス」(24年の2回目の監査で高木メリヤスを追加)に対して、三恵メリヤスは申請書などを準備して認証機関に代わり工場が規定に反していないかをチェックする必要がある。「行動指針や各工場が当てはまる部分を拡大コピーして配り、整理整頓は当社のチームメンバーと一緒に手伝いに行った」。実際に足を運び手伝うことで本気度が伝わった。
GOTS認証取得には対象製品と他の製品のラインを分ける必要があり、そのトレーサビリティがポイントになる。「皆さんの仕事の流れを理解したうえで、普段の業務の負担にならないように考えて、GOTS製品を作る際の専用の記録を取るシートを作成し、それを協力工場に配った」。認証取得に向けては人権および社会的要件も重要になる。「最低時給や残業代も確認しなければならない。協力工場で最も給料が少ないスタッフへのインタビューを行うなど、認証取得を目指さない限り、通常は聞くことがないようなことも確認しなければならなかった。先代から取引がある工場さんで、積み重ねた信頼関係があったからこそできた」と振り返る。
「過剰反応し過ぎていた」。取得して気づいたこと
終わってみて思うことは、「日本語情報がなく、全体像が全く見えず、それこそレギュレーションを全部読んで暗記しないと!と過剰反応していた」ということ。「けれど今まで行っていたことを丁寧に見直し、それを認証機関に伝えることで多くのことがクリアできた。僕的にGOTS認証を要約すると『トレーサビリティと社会性を適切に記録して、いつでも見ることができる仕組み作り』。皆が理解しやすく説明することも大切だった」と振り返る。「例えばトレーサビリティを担保するための記録作業は、各工場ですでに伝票を作っているので問題は発生しない。また、すでに各社が残業をなるべくしないように効率化しているため、残業や最低賃金の問題も発生しない。人権問題は国内事業で日本人を雇用しているケースが多いので問題になりにくい。個人経営者も多く、労務上の制限も少ないなど、クリアしやすかった」。