【対策失敗?】義母が資産1億円以上あります。富裕層と中間層で相続税対策の気をつけるポイントを教えてください!
多くの方が「自分が亡くなる前に少しでも資産を遺したい」「親が亡くなる前に相続対策をしておきたい」と考えると思います。 しかし、正しい知識がなければ逆に負担となる可能性もあります。また、資産の多さによっても相続税の対策が変わってきます。本記事では、富裕層・中間層の方が見落としがちな相続対策のリスクについて解説していきます。
富裕層の方が見落としがちな相続対策
<賃貸アパートを建てる> 富裕層の方が、相続税対策として金融機関から融資を受けた資金で貸家を建てるケースがよくあります。相続税対策となる理由は、3点の節税効果メリットがあるからです。 (1)融資を受けることにより借入残高が債務として認識されマイナスの財産として相続財産から差し引けること。 (2)建物に賃借人の借家権がつくことになる為、通常の建物評価から評価額の30%の借家権評価を差し引くことが出来ること。 (3)敷地の評価をするときに貸家建付地の評価減として敷地の評価額から評価額の18%を差し引くことが出来ること。 ※この18%は敷地が所在する地域ごとの借地権割合によって変動します。借地権割合が60%の地域の宅地が割合多いので、その場合は18%が差し引けます。借地権割合は国税庁の路線価図に記載されています。 その他のメリットとして、適用要件が当てはまれば小規模宅地の特例の対象宅地として選択出来る可能性もあります。このように一見、節税メリットが多い融資付き貸家スキームですが見落とされているリスクがあります。 貸家であるので賃借人として入居者が確実に入らなければ返済計画が大きく変わります。相続が発生した後、相続人に資金的余裕がなければ金融機関への返済と金利で不動産事業としての資金繰りが切迫して相続人が大変な苦労をしている事例が散見されます。 <タワマン節税> 同様の節税スキームでよく行われていた、いわゆるタワマン節税が2024年1月からの相続開始分において評価上の改正が行われ、節税メリットが大きく制限されます。内容としては、居住用の分譲マンション全般の評価について規制の対象となり、通常の路線価評価に市場価格との乖離率を加味した評価額に改正されています。 改正の理由は、相続税評価の方が大きく評価されやすく、実際の取引売買価額との乖離が大きくなり過ぎたためです。結果、節税としての効果が以前よりも小さくなります。ご検討されていた方は、ご注意ください。