〈シューズで見る箱根駅伝2025〉箱根ランナーの9割以上が履いていた“絶対王者”ナイキがまさかの転落…アディダスがシェア1位に大躍進した納得の理由〈出場210選手「着用シューズ一覧表」付き〉
通常ではあり得ない…1年間で突然シェアが逆転
ちなみに前回の内訳はこういう結果でした。 【第100回箱根駅伝 着用シューズ内訳】 ・ナイキ 98人(42.6%) ・アシックス 57人(24.8%) ・アディダス 42人(18.3%) ・プーマ 20人(8.7%) ・ミズノ 5人(2.2%) ・On 3人(1.3%) ・HOKA 2人(0.9%) ・ニューバランス 1人(0.4%) ・アンダーアーマー 1人(0.4%) ・ブルックス 1人(0.4%) これは日本陸上界にとっては数字以上の衝撃があります。なぜなら、日本人ランナーはとても保守的だからです。ランニングシューズにイノベーションをもたらしたナイキのヴェイパーフライでさえ、選手への普及には長い時間がかかりました。それが1年間で突然シェアが逆転するというのは、通常であればありえないことなのです。
昨年3区の熾烈な首位争いで注目を集めたアディダス
この躍進を後押しする1番のプロモーションとなったのは、前回の箱根駅伝の3区でしょう。青山学院大の太田蒼生選手と、駒澤大の佐藤圭汰選手の熾烈な首位争い。競技実績では格上の佐藤選手を負かした太田選手が履いていたのが、アディダスの「アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1」でした。 このシューズはナイキに圧倒的後塵を拝してきたアディダスが「アディダス史上最軽量」を謳って開発したもの。リリース直後の2023年9月に行われたベルリンマラソンでは、このシューズを履いたエチオピアのティギスト・アセファ選手が、女子マラソンの世界記録を2分以上も短縮する史上初の2時間11分台を達成したのです。
エヴォ1の機能性を引き継いだ、アディオスプロ最新モデル
ところがこのシューズ、機能性は抜群なのですが大量生産ができず、価格は1足8万円超。耐久性もなく、なんともコスパのよくないシューズになってしまったのです。そこで「多くの人に履いてもらえるものを」とアディダスが2024年秋に発表したのが「アディゼロ アディオス プロ4」です。これはアディオスプロの最新モデルと位置付けられていますが、実はエヴォ1の機能性を引き継いでいます。 エヴォ1のイノベーションは、ソールの角度にあります。アディダスはドイツ本社に世界のトップランナーを招待し、レースを開催。そこで得た動作データを解析したところ、ケイデンス(足の回転)が上がるソールの角度を発見。それを搭載したのがエヴォ1であり、プロ4なのです。 さて、アディダスは開発だけでなく、伸びそうな大学にアプローチをするという戦略もとりました。もともとユニフォームを提供していた青山学院大、國學院大、創価大はもちろん、女子の陸上部もカバーしました。ターゲットはナイキですから、ナイキスクールの名城大に勝つために、立命館大、大東文化大にもアプローチしています。 そしてアディダスを履いた大学が、2024年に次々と結果を出します。女子駅伝界では2018年から6季連続大学駅伝2冠を打ち立てた名城大には勝てないと言われていましたが、立命館大がその牙城を崩し、全日本大学女子駅伝でも富士山女子駅伝でも勝利しました。 今回の箱根駅伝でも、2区で区間新記録を出した3選手全員がエヴォ1、6区で異次元の走りで56分台を出した青学大の野村昭夢選手がプロ4を履いています。 ナイキ一強時代から一転、今では「ナイキでは勝てない」というムードすら漂っているのです。
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