なにわ虎男子 父が明かす阪神・伊原陵人の這い上がり秘話 涙の指名漏れ乗り越え虎ドラ1位
阪神の新入団選手にスポットをあてた連載「なにわ虎男子」がスタート。第1回はドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=の父・伸さん(57)がこれまでの歩みを語る。大商大時代に経験した指名漏れでは涙を見せただけに、晴れてのプロ入りには喜びもひとしお。本人の意思を尊重する教育方針で育てた愛息の活躍に期待を寄せた。(随時掲載) 【写真】よだれかけ姿の伊原陵人 元気いっぱいの男の子だった 伊原は阪神からドラフト1位という最高評価を受け取った。挫折を知るからこそ、父・伸さんら家族にとっても喜びはひとしおだった。 「プロというのが彼の夢にあったと思います。彼が本当に一番喜んでいると思いますし、私もうれしいです。本当に良かった」 伊原は大商大時代にプロ志望届を提出。2年前の10月20日は家族も学内の会場で歓喜の瞬間を待っていた。だが、結果は指名漏れ。「(息子は)名前がなかったときは正直、泣いていましたね」。受け入れがたい現実。ただ、社会人野球への道があったことから「もう一回、頑張れよ」と伸さんは短い言葉で背中を押し、寄り添った。 その後、伊原は送ったエールの通りに社会人野球のNTT西日本で腕を磨き、結果も残した。体つきが変わり、マウンドから投じる球も迫力満点。伸さんはいま思えば「もし大卒でプロに行けていたら、どうなっていたかも分かりません」。悔しさを胸に据え、一人の投手としてこの2年間で遂げた成長を知るからこそ、夢の舞台での活躍への期待は膨らむ。 幼少期の伊原少年は野球で思うようにいかないことがあると練習を休み、コーチだった伸さんだけがグラウンドに行くこともあった。ただ「本当に野球が好きなのかな…というのもあった。周りの友達は遊んでいるのに…と思った時期もあったのかな」と決して無理強いはせず、本人の意思を尊重し続けてきた。その結果で伊原自身が選んだのが野球の道。親として息子が前向きに取り組むものは、これからも応援し続けていく。 「彼も一年一年が勝負だと思いますし、年齢的にも即戦力という形で呼ばれている。けがのないように頑張ってほしいのと、みなさんに応援されるような選手になってほしいと思います」