【Q&A】国の「予算編成」とは?
コロナ禍で2020年度は補正予算が度々組まれ、年間を通しての予算も170兆円を超える空前の規模となった。国が政策を実行する際には当然ながら予算の後ろ盾が必要となる。しかし、どのような過程を経て予算が編成されるのかは必ずしも知られていない。中央大学名誉教授で行政学者の佐々木信夫氏に聞いた。
Q:国の予算とは?
国家予算は、収入とその使途(支出)に関する計画を金額で表示したものです。その予算を編成するのは内閣であり、内閣は作成した予算案を国会へ提出し審議・決定を求めます。 予算は(1)予算作成(2)執行(3)決算・検査――の3つの過程を経ます。決算検査で指摘された事項は翌年の予算編成に反映され修正されます。
Q:予算にも何種類かあるの?
予算には、年度当初に組まれる「本予算(当初予算)」と、その後追加される「補正予算」があります。当初予算で計画された収支の中で活動するのが原則ですが、今回のコロナ禍や近年相次いでいる集中豪雨、地震などの大災害によって追加で予算が必要となった場合などは当初予算を補う形で補正予算が組まれます。補正予算は「追加予算」と呼ばれることもあります。 予算編成は、原則として新しい会計年度が始まる以前に完了しなければなりません。日本の場合、新年度の予算は前年度末の3月31日までに国会の議決を経る必要があります。政治状況などにより3月末までに新年度予算の成立が難しい場合、本予算が成立するまでの1~2か月間の「暫定予算」を編成し、これを国会に提出し、議決を求めることになります。
Q:「予算編成」はどのようなスケジュールで進められるの?
各省庁は5月頃から次年度の予算要求の作業を始め、新規政策の立案や既存施策の見直し作業に入ります。首相の諮問機関である経済財政諮問会議の「骨太の方針」という予算編成の大枠(6月か7月に出される)の考え方をもとに、7月下旬には新年度予算の概算要求基準が閣議決定され、その通知をもとに、各省庁の予算編成作業は本格化するのです。 各省庁は予算の骨格を決めていき、8月末までに財務省に概算要求書を提出します。9月から政府案の決まる12月下旬までの4か月間が財務省主計局にとって予算編成の本番で、“不夜城”とも言われる多忙な時期を迎えます。 12月に入ると、国会議員や知事、市町村長、圧力団体らが財務省や政府与党(連立政権を支える各党)に陳情攻勢をかけます。よくテレビに映し出される光景です。 財務省は12月下旬に政府原案を閣議に提出し、閣議の了承を得て各省庁に予算の内示をし、これが国民に公表されます。政府案は翌年1月中~下旬に国会に提出され、まず衆院で審議可決され、次いで参院での審議可決を経て、3月下旬に新年度予算が成立します。