メルセデスがこだわる「知覚安全性」とは? 周囲のクルマや歩行者にアピールすることが安全につながるベンツ神話を紹介します
安全なボディカラーを積極採用
メルセデス・ベンツは、1960年代からボディカラーを安全な視認性順に並べたチャートを作成し、カスタマーへ啓蒙活動を行ってきた。これはドイツ国内のタクシーの色を、それまでの黒からチャート上位にあった視認度の高いライトアイボリー(623)に変えるという法律制定(1970年施行)のきっかけにもなった。 筆者がヤナセの現役社員時代、顧客がボディカラーで迷っている場合には、このボディカラーチャートで安全な色を勧めたものだ。専売ショールームにはカラーサンプルも展示している。最近の交通事情ではすぐに自車を認められるボディカラーが安全の重要な要素になっているが、ユーザーの個人的な好みの色とのコンビネーションに配慮すべきではないかと考えている。 ドライバーはトンネル内もよく走るが、照明は何色だろうか? 以前は排ガスや塵の影響を受けにくい透過性の良い蛍光オレンジ色であった(現在は白いLED)。暗いトンネル内をもっとも早期に認識できるカラーになっていた。この蛍光オレンジ色を100%とすると、白色は視認度88%となっており、安全色でしかも風景に溶け込み膨張色となりボディも大きく見える。逆に黒色は視認度5%だが、ボディを引き締め、またシックに見える。 結論としては、明るい色の方が特に夕暮れ・夜間・霧の中では暗い色よりも2倍~8倍位の距離から視認されることがわかっている。最近、多くなったメタリックペイントは反射能力や見る角度で大きく差がでるので、視認度はわかりにくくなっていることにはご注意願いたい。 メルセデス・ベンツをドライブすれば、ここまできめ細かい知覚安全対策をしているのかと感心させられることだろう。着座位置が高いため前後の見通しも良く、死角も少なく、視界良好。しかも各々のピラーは頑丈で大変安全であり、本当の意味でメルセデス・ベンツはオーナードライバーズカーであると、特にヨーロッパでは認められているのだ。
妻谷裕二
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