60代以降の男性は要注意⁉…健康診断で「尿蛋白」が「陽性」だったときの正しい対処法とは?
毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。 『健診結果の読み方』連載第32回 『がんが見つかることも! 「検尿」で引っ掛かったら、この病気を疑え』より続く
尿蛋白の有無
検尿では、尿糖だけでなく尿蛋白(PRO)の有無も、判定することになっています。尿に溶けているタンパク質の量を、定性的に判定するというもので、腎臓病のスクリーニング検査になっています。 尿糖や尿潜血と同様、試験紙法が用いられています。尿蛋白専用の試験紙の先端を尿に浸けて、色の変化を見て判定します。検査結果は-(陰性)、+-(擬陽性)、1+(陽性)、2+、3+までの5段階ですが、検査紙メーカーによっては4+までの6段階になっていることもあります。 尿蛋白は、血液中に溶けているタンパク質が、腎臓で十分に回収されず、尿に出てきたものです。病気としては慢性腎臓病、子宮体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎症などの可能性があります。また尿路感染症でも、尿蛋白が出ることがあります。 ただし健康な人でも、尿中に少量のタンパク質が溶けだしています。疲労や水分摂取量が少なかったことなどが原因で、たまたま尿が濃縮されていると、判定が+-や1+になることがあります。激しい運動後も、陽性になりやすいと言われています。また感染症などで高熱が出た後や、女性では生理前後に陽性になることもあります。
腎臓病の可能性が...
表27に、令和2年度(2020年度)の東京都の特定健診の結果を載せました。 男性では40代~60代で、7~9パーセントのひとが+-の擬陽性、70歳以上では11パーセントが擬陽性でした。また50代までは1+が2パーセント台に留まっていますが、60代以降は増加しています。しかし3+はさすがに少なく、70代になっても1パーセント未満です。 女性では60代までは-が90パーセントを占めています。擬陽性は4パーセント台から6パーセント台です。また3+は0.1~0.2パーセントで推移しています。 健診で+-や1+が出ても、あまり心配は要らないかもしれません。しかし尿糖や尿潜血も陽性だったり、クレアチニン値が高かったりすると、腎臓病の可能性があります。一度、腎臓内科などで診てもらっておくと安心です。 『「人工透析」が必要になるかもしれない⁉…「尿検査」でチェックしている「CKD」を知っていますか? 』へ続く
永田 宏(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授)