名古屋・河村市長「市独自の医療証は紙のまま」 マイナ連携の実証事業参加を拒否
名古屋・河村市長「市独自の医療証は紙のまま」 マイナ連携の実証事業参加を拒否
名古屋市の河村たかし市長は10日、市役所で定例記者会見に臨んだ。マイナンバーカードと保険証との一体化に関連して、地方自治体の福祉医療費助成制度などとの情報連携について「国が自治体に対して実証事業参加の公募を始めているが、名古屋市は参加しない」との意向を表明した。河村市長は市独自の制度までマイナ保険証と一体化するべきではないとして、「従来通り紙の医療証を発行していく」と強調した。自治体としてこうした意思表明をするのは全国で初めてとみられるという。 【動画】名古屋・河村たかし市長が定例会見(2023年7月10日)
子ども医療証など「別々の方が安全で早い」
マイナンバーカードについては、他人の情報と紐づけされるトラブルなどが発覚し、政府がシステムの総点検をする方針を打ち出している。一方で、健康保険証との一体化は国会で関連法が成立し、来年秋に紙の保険証を廃止する方向で国が準備を進めている。 こうした中でデジタル庁は、地方単独の医療費助成などの手続きでマイナンバーカードとの情報連携を進める際の課題を検証するとして、実証事業に参加する地方自治体の公募を今月から始めた。 これに対して河村市長は「市の独自制度である子どもの医療費助成制度などを利用する際に使用する医療証については、マイナンバーカードと一体化するべきではないと思っている」として、市内在住の18歳までの子どもの医療費が無料となる市独自の子ども医療証を会見で掲げた。現在は約32万1700人の子どもを対象に発行。今回の実証事業では、他にひとり親家庭等医療費助成制度や障害者医療費助成制度などが関わってくるという。 マイナンバーカードと保険証が一体化されれば、病院で「マイナ保険証」を示すことになるが、市はこれに子ども医療証などの情報まで一元化する必要はなく、現行の紙の医療証を提出してもらえればいいとする立場だ。 河村市長は行政手続きに必要な証明書や番号は「それぞれ別のものであった方が安全だし、早い」との持論を展開。一方、市の担当者は今回の決定事項は実証事業に参加しないことだとして、「将来的なことはまた市長と相談することになる」と述べた。