「失業」「精神の失調」「人間関係の失敗」3つの“失”が社会問題に、中国でまた無差別殺傷事件 背景は?【Nスタ解説】
ホラン千秋キャスター: いつ頃から、3つの“失”に対する不満みたいなものが大きくなり始めたのでしょうか。 東京大学大学院 阿古智子 教授: コロナのときのロックダウンが長く続き、経済活動が停滞していって、その後も回復しない中で、徐々に深刻化していったと思います。 井上貴博キャスター: 基本的には中国共産党は、国内を締めつけると言われています。超がつくような監視社会で、徹底的に押さえつけるということだと思いますが、その分、暴発するリスクが高まると感じます。 しかも、人口は14億人います。北風と太陽だと、強い北風で押さえつけるしかないですよね。中国共産党が続く限り、その状況も続いてしまう気がします。 東京大学大学院 阿古智子 教授: 今までは、経済が良くなっていけば、そういう不安も徐々に解消されていったのですが、今はずっと引き締める一方なんです。 緩めてしまうと不満が出てきてしまうのでは、という気持ちはあるでしょう。悪い情報が出ても削除していきます。ナイフや車の暴走などでは、警察も間に合わないということで、そういう意味で社会的なメッセージを発する人が増えていると思います。 ホランキャスター: その不満を抱えていても、それをどう表すか、どう解消していくかは、人それぞれだと思います。こういう事件が起きると、社会への報復の気持ちが連鎖していく部分はあるのでしょうか。 東京大学大学院 阿古智子 教授: 日本でも、連続した事件が起こったこともありますが、中国では日本みたいにメディアは自由に報道できません。消していますが、消しても消しても、どんどん不満が出てきてしまう状況があると考えられます。 ■数時間後、献花も撤去 南波キャスター: 中国での情報統制についてです。 東京大学大学院の阿古教授によると、「情報が拡散し、政権批判につながる恐れがあるため、中国では厳しく情報統制されている」ということです。 国営メディアは、現場の映像を報道しませんでした。一方、SNSに関連する動画などが投稿されていましたが、削除されていました。 ただ、中国のSNSのみならず、日本のSNSでも、事件現場の動画などはかなり拡散されていて、なかなか収拾もつかないような状況になっていると言えると思います。 政府として、より厳しくしようということで、事件現場の献花は、数時間で撤去されて、なかったことにしようとするような動きも見られています。