加藤勝信氏、自民総裁選レースで急浮上 「最大公約数」も知名度低く選挙の顔には?
9月に行われる見込みの自民党総裁選レースで、加藤勝信元官房長官が急浮上している。温厚な性格から党内の敵はほとんどおらず、国会議員票で「最大公約数」になり得るのが強みだ。キングメーカーの一人と目される菅義偉前首相の評価も高く、岸田文雄首相の対抗馬の有力候補との見方もある。ただ、知名度が低く「選挙の顔」になれるのかという点に疑問符が付く。 【一覧】主な「ポスト岸田」候補 ■現在は非主流派 加藤氏は現在、党役員や閣僚に起用されておらず、非主流派に位置付けられる。「このままでは自民党はまずい」。加藤氏は最近、党内の有力者と会食を重ねている。会食相手の一人によれば、危機感を何度も語ったという。 今月14日夜には、加藤氏からの誘いで森山裕総務会長らと東京都内で食事し、派閥パーティー収入不記載事件で信頼を失った党の現状への懸念を共有した。 6日夜は、加藤氏、菅氏、萩生田光一前政調会長、武田良太元総務相、小泉進次郎元環境相という菅内閣の閣僚だった5人が会食。ある出席者によれば、改正政治資金規正法の国会審議を巡る混乱に関し、「(首相は)いろいろ打ち出したが、内閣支持率回復にはつながっていない」といった声が出たという。 総裁選の具体的な対応は話し合われなかったが、「菅氏は加藤氏を推したいのでは?」との見方が党内に広がった。菅氏に近い議員の間では加藤氏、石破茂元幹事長、小泉氏の名前があがる。 ■「決めていない」 加藤氏は総裁選出馬について周囲に「決めていない」と話しているが、意欲を持つというのが衆目一致した見方だ。5月のインターネット番組では「高みを目指したい」と言及した過去に触れ「その気持ちは変わっていない」と述べた。 加藤氏の強みは「乗りやすい」ことだ。安倍晋三元首相に厚遇され、後継首相の菅氏からも答弁や政策能力を買われ、女房役の官房長官に抜擢された。 解散を決めた安倍派の若手は「勝信さんなら安倍派もまとまれる」と強調。安倍政権をともに支えた麻生太郎副総裁との関係も悪くない。菅・武田両氏と麻生氏という折り合いの悪い双方と気脈を通じる、まれな存在といえる。 ただ、派閥解消を唱える菅氏の支持を加藤氏が得るには、茂木派に所属していたことがネックだった。また、茂木派では領袖だった茂木敏充幹事長が総裁選出馬を目指しており、2人は微妙な緊張関係にあった。