「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.4「コスメブランドにクリエイターは不要?」
――:石橋さんはスキンケアにもクリエイティブディレクター的な立場の方を置いていましたよね?
石橋:「スリー(THREE)」も「イトリン(ITRIM)」も同じ女性にお願いしていましたが、通常は自社の研究所なりが作った商品であって、スキンケアのクリエイティブディレクターというのはほぼいません。そういう人だからこそ、今までにない新しい発想の商品ができてくるわけです。僕がブランドビジョンを感覚的に伝え、彼女がそれを具体的に、科学的に商品に落とし込む。作る商品の目的をきちんと話すと、彼女は持てうる知識で提案してくる。そして全国各地の農家や農協に会いに、一緒にいっぱい旅をしましたね。オタクといえばオタクだったけれど、僕にとってのブレーンとしてしっかりと役割を果たしてくれました。
――:「スリー」のメイクアップラインにはRIEさんの感性と哲学が生き生きと表れていたので、今後の展開がどうなるのか非常に気になるところです。
石橋:かねてから難しいなあと思っていたのは、私だけじゃなくていずれはみんないなくなる。その後どうなるの? 僕は自ら海外にも出かけてやってきた。でも同じことを次の人ができるとは限らない。だからACROの経営陣には、せめて年に1回は海外の代理店に挨拶もイベントも含めて絶対に行くように言いましたね。自分がオーナーだったら死ぬまで影響力を与えられるけど、雇われマダムだから(笑)、変わっていくのは仕方がない。自分のコピーはできないけれど、後を託した人には僕が弱かった部分をちゃんとやってもらって、その人ができないことは他にできる人を作ればいいわけで。そういう体制を作り切れるかどうか。商品に詳しい人を外部からでもいいから引っ張ってきて担当にするとか、強いチームでやっていくことが大切だと思いますね。