専門家の意見受けた「予定になかった宣言」 菅首相と尾身会長が語る経緯
菅義偉(よしひで)首相は14日、記者会見し、新型コロナウイルス対策として出している特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域に北海道、岡山県、広島県を追加することを明らかにした。一方、記者からは、「政府は基本的対処方針分科会で、専門家の意見を受けて当初を予定していなかった宣言を3道県に適用することになった。当初の政府の見通しが甘かったのではないかとの指摘にどう答えるか」との質問が上がった。菅首相と分科会の尾身茂会長はどう答えたのだろうか。
政府は緊急事態宣言を発出する際には、専門家で構成される「基本的対処方針分科会」に方針を諮問し、意見を聞くことになっている。 菅首相は、「これまで政府としては地域の感染状況を踏まえた感染防止対策を分科会に諮問するとともに、そこで専門家の意見を踏まえたうえで適切に対応してきた」と説明。14日の分科会については「専門家からより強いメッセージを出すことが必要という意見があり、そうした意見を尊重し(た)」と述べた。
尾身会長「意見を述べた4つの理由」
一方、菅首相とともに会見に臨んだ尾身会長は、「政府と我々専門家の間では視点や立場も異なる。個別のテーマ、あるいは議論について意見が違うことも当然、時々ある」と指摘。そのうえで、「意見を我々が述べた理由は主に4点あった」と語った。 尾身会長が述べた4点は(1)3道県が「ステージ4」の状態にあること(2)変異ウイルスによるさらなる感染拡大が懸念されること(3)病床のひっ迫が、数が示す以上に厳しい状況にあること(4)まん延防止等重点措置よりも強いメッセージが必要であること――の4点。 尾身会長は「こうしたことを率直に政府に述べるのが我々の責任。政府は非常に速い対応をして、意見を採用してくれた」とした。