ラグジュアリーブランド がカテゴリーを多様化する理由。本格時計に進出するルイ・ヴィトンなど:Luxury Briefing
多様化とカテゴリー拡大に対するラグジュアリーブランドのアプローチ
エチェバリア氏のアプローチは、ラグジュアリーブランドが多様化とカテゴリー拡大を図る上でのひとつのアプローチの仕方にすぎない。インフレと不透明な経済というプレッシャーに加え、ラグジュアリーブランドが何でも扱うブランドになることへの要求が高まっているため、ラグジュアリーの分野は拡大を続けている。まさに今年は、グッチ(Gucci)がファインジュエリーに参入、ルイ・ヴィトンがハイエンドのスイス時計業界と対抗する意向を発表、ヴィクトリア・ベッカム氏やモーダ・オペランディ(Moda Operandi)といった複数のラグジュアリーファッションのプレーヤーが美容の販売を開始し、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)は今後数年のうちに不動産とスキンケアの両方に参入する計画を明らかにした。新たな収益源を開拓することは、理論的にはリスクを分散して不安定な市場の急変からブランドを守ることができる。 だが、ラグジュアリーカテゴリーの拡大はブランドだけにとどまらない。ラグジュアリー小売業も収益源の多様化に乗り出しており、マイアミのラグジュアリーショッピングセンター、バルハーバーショップス(Bal Harbour Shops)もそのひとつだ。バレンシアガ(Balenciaga)、オーデマ・ピゲ(Audemars Piguet)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)などのブランドを擁する同ショッピングセンターは10月、初の自社ブランドのアパレルコレクションを発表した。ストリートウェアにインスパイアされたスウェットスーツで構成され、バルハーバーのクリエイティブチームが社内でデザインしている。 バルハーバーのマーケティングおよびメディア責任者であるキャロリン・トラヴィス氏によると、このコレクションは、パンデミックの際に同ショッピングセンターが、バルハーバーのロゴと白黒の配色で自社ブランドのフェイスマスクを作り始めたことに端を発するという。マスク自体は無料で顧客に配られたが、トラヴィス氏はすぐにファッションの再販サイトに出回っていることに気づいた。人々がマスクを求めるほどバルハーバーブランドを気にかけているという事実は、たとえそれが会社の通常業務の分野ではなかったとしても、自社ブランド商品全体のラインを売り込む自信につながった。