【テストレポート】燃料電池がピックアップトラックをクリーンなクルマにする プロトタイプのトヨタ ハイラックスF-Cellで初ドライブ
トヨタ ハイラックスF-Cell:燃料電池がピックアップトラックをクリーンなクルマにする。トヨタはハイラックス ピックアップにミライの燃料電池を搭載した。トヨタ ハイラックスF-Cellの試乗記をお届けしよう。
「トヨタ ハイラックス」を運転したことがあるだろうか?もしなければ、信じてほしい。燃料電池と電動駆動を後付けしても、「ハイラックス」であることに変わりはない。「ハイラックス」のままだ。何もかもが鈍く、硬い。トヨタのピックアップは、クルマであることを望んでさえいない。しかし、1トンを運ぶことができる。商用車のようだが、昔ながらの全輪駆動、短いオフロードリダクション、ロック可能なリヤアクスル(地面のグリップが左右で大きく異なり、回転するホイールでパワーが空回りする恐れがある場合に必要)のおかげで、23cmの最低地上高と相まって水深70cmの水の中でも走破できる。
「トヨタ ミライ」の燃料電池を搭載
「ハイラックス」。駆動方式は1:1トランスファーだが、タンク容量が多い。各容量2.6kgのタンクが3つ、ラダー型フレームのサイドメンバーの間に収まっている。これで航続距離は500kmから600kmになるはずだ。
イギリスで10台の燃料電池プロトタイプが製造された
バッテリー電気自動車と比較した場合の利点: 乾燥重量はディーゼル車より約100kg重いだけで、それさえも減らすことができる。燃料補給にかかる時間はわずか3分だ。イギリスにあるトヨタのバーナストン工場で作られた10台のプロトタイプは、後輪のみを駆動するもので、四輪駆動はない。しかし、トヨタのエンジニアによれば、フロントアクスルに電動モーターを追加すれば、簡単に対応できるという。
オフロードリダクションとロック可能なリヤアクスルも後に導入される予定だ。「プロトタイプは、既存のものをベースに素早く作りたかったのです」と、ブリュッセルの開発エンジニア、ヨアヒム デ ブーバーは言う。トヨタの燃料電池の第3世代は2026年頃に登場する予定で、必要なスペースは4分の1になり、通常のオフロード走行補助装置の設置が容易になる。
ストークオントレント近郊の商用車メーカーJCBの試験場では、プロトタイプが地面の緩い斜面を可能な限り素早く駆け上がっていく。ICE版ピックアップと比べてバランスの取れた重量配分が利点で、重いハイブリッドバッテリーはキャブの後壁の後ろに収まっている。