ダルビッシュのレ軍移籍話はガセネタ? メジャーのストーブリーグの噂の読み方にご用心!
ワールドシリーズが終了した大リーグは、各球団がFA選手にクオフィファイングオファーを出すなど、来季に向けての戦力補強に着手し始めた。米国時間の9日(日本時間10日)からは米国アリゾナ州でGM会議も行われ、トレードなどによる補強が更に活発に進められることになる。 そんな中、早くもビッグな噂が海を越えて日本にまで届いてきた。一部ネットサイトがレンジャーズのエース投手、ダルビッシュ有がレッドソックスへトレードされる噂が表面化したと報じたのだ。「ダルビッシュが外野陣強化のために放出される。相手はレッドソックスのヨエニス・セスペデスだ」と。 このサイトは見出しではそう報じながらも、読み進むと、この噂について可能性はゼロに近いとし、テキサスの地元紙のコラムニストが「ありえない話だ。ジョン・ダニエルズGMもそうだろう。セスペデスはいい選手で、放出したアスレチックスも後悔していると思う。だが、ダルビッシュはレンジャーズのエース。実現はとても困難だ」という否定的なコメントを付け足している。 文面だけ読んでいると、結局の所、どうなんだ?という内容だが、現場ではそんな話が噂になっているのか、という印象を持つ読者も多いことだろう。実際、日本の一部新聞メデイアも同記事を後追いする形で、「ダル、Rソックスに移籍か 大リーグ・トレードの噂一気に拡散」と報じた。 だが、ちょっと待って欲しい。このネタ、実は、先月10月22日のテキサスの地元紙「ダラス・モーニングニュース」の記事が元になっている。これは、一般のファンによる質問に、同紙のコラムニストが答えるという形式の記事。一般人が「あなたなら、ダルビッシュとセスペデスをトレードしますか?」と、野球記者に質問し、それに対して、コラムニストが「ノー。ダニエルズGMだってしない。うんぬん」と私見を述べているだけのこと。単なる一般のファンとの質疑応答だ。これを、“現地で噂が浮上”と報道することには、やはり、無理があるだろう。 もちろん、背景には、レッドソックスがレスター、ラッキーら去年の開幕当時の先発5人中、4人をトレードで放出し、チェリントンGMが今オフの最大の補強ポイントに「先発投手」を挙げているレ軍の台所事情がある。 また、ボストンの地元紙が、レッドソックスは、セスペデスをオフのトレードの交換要員とする用意がある」と報じていることから、“状況証拠的な要素”があるのは確か。しかしながら、少なくとも、現時点でメジャー30球団の球団首脳やもしくはそこに近い取材源から、ダルビッシュとセスペデスのトレード交渉が進められているというような情報は出てきていないし、米国でそれが噂になっているという状況ではない。