楳図かずおさん「胃がん」で逝去 前兆となる“5つの初期症状”や予防法を医師が解説
「漂流教室」や「まことちゃん」などの漫画作品で知られる漫画家の楳図かずおさんが先月、10月28日に、胃がんのため亡くなっていたことを小学館が発表しました。88歳でした。楳図さんの訃報に接し、胃がんの初期症状・なりやすい人の特徴・予防法などを医師の木村香菜先生に解説してもらいました。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。 【イラスト解説】知らないと怖い「胃がん」と「スキルス胃がん」の違い
「胃がん」とは?
胃がんは、胃の壁の内側をおおっている正常な粘膜細胞が何らかの原因でがん細胞となり、増殖していく病気です。早期の段階では、がんは粘膜にとどまっていますが、胃の壁の深くまで進行すると、胃の外側にも達し、胃の近くにある大腸や膵臓、肝臓、横隔膜などの他の臓器にも直接浸潤(しんじゅん)していきます。 がんが漿膜を超えていくと、お腹の中にもがん細胞が散らばってしまう、腹膜播種(はしゅ)が起こってしまうこともあります。そして、がん細胞がリンパの流れに乗って、胃の近くのリンパ節や大動脈の周りのリンパ節、また遠く離れた左の鎖骨の上のリンパ節にも転移がみられることがあります(リンパ節転移)。さらに、がん細胞が血流に乗って、肝臓や肺などの別の臓器に転移することもあります(遠隔転移)。 胃がんの原因としては、ヘリコバクター・ピロリ菌への感染が挙げられます。このヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると、胃の炎症や胃潰瘍ができることがあり、胃がんになる可能性が高くなってしまうことがわかっています。 胃がんの初期症状については、後ほど詳しく解説していきます。進行した胃がんの場合には、体重が減少する、食事がつかえる感じがする、といった症状が現れます。また、皮膚に激しいかゆみを伴う色素沈着が生じる、黒色表皮種という病気を合併することもあります。この黒色表皮種は、悪性腫瘍に伴う悪性型や、その他の良性型・仮性型といったタイプがありますが、悪性腫瘍の場合には胃がんの頻度が高いとされています。