〈退職金3,600万円〉永年勤続を贈られた大手メーカーの副部長、60歳定年で再雇用となったが「いつまでも上司面」と嫌悪される厳しい現実
厚生労働省の調査によると、60歳の定年を迎えたとき、退職を選択した人は12.7%。9割弱がそのまま会社で働くことを選択しています。働き続ける理由は人それぞれですが、働くには厳しい環境というケースも珍しくないようです。 ▼【早見表】勤続年数別・企業規模別「サラリーマンの退職金額」…勤続20年で800万円、30年で1,600万円
副部長だったサラリーマン…60歳定年で給与6割減
大手メーカーで働く後藤聡さん(仮名・60歳)。60歳で定年を迎えましたが、再雇用制度で引き続き働いています。 ――再雇用で契約社員になりましたが、慣れた環境で働き続けることができるのはメリットですね。役職が取れて、専門の業務に特化できるので、定年前よりも働きやすくなったと思います 厚生労働省『令和5年高年齢者雇用状況等報告』によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置として、「継続雇用制度の導入」で対応した企業が69.2%。「定年の引上げ」で対応した企業が26.9%でした。ちなみに70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みなのは29.7%。60歳定年が一般的ななか、65歳以上定年企業は定年制を採用する企業が30.8%となっています。 継続雇用制度は大きく、再雇用制度と勤務延長制度の2つがあります。同省『「令和4年就労条件総合調査」』によると、再雇用制度を採用するのは63.9%、勤務延長制度を採用するのは10.5%、両制度併用の企業は19.8%でした。 再雇用制度の場合、正社員から契約社員や嘱託社員と雇用形態が変わり、それに伴い給与も大きくダウンします。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの50代後半の平均給与は、正社員で月収53.2万円、年収で879.1万円。60代前半では44.9万円、年収で690.1万円。60歳を境に月収で15%ほどダウンしています。また非正規社員だと60代前半で月収31.9万円、年収498.6万円。月収で41%ダウンします。 斉藤さんの場合、定年直前、副部長だったこともあり下落幅は大きく、「現役時代の4割程度ですよ」と苦笑い。定年とともに退職金3,600万円を手にしていただけに、給与減はさらに際立って感じたといいます。 また独立行政法人労働政策研究・研修機構『高年齢者の雇用に関する調査 (企業調査)について 【速報値】』によると、再雇用後も「定年前とまったく同じ仕事に就かせる」割合は全体の44.2%、「同じ仕事でも責任の重さを軽減する」の割合は38.4%でした。 再雇用の場合、仕事は定年前と同じ業務を引き継ぐこともあれば、新しい業務や職務に就くこともあります。業務範囲が狭くなることが多く、定年前のような責任の重い仕事から、より軽い業務にシフトすることが一般的です。
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