93歳・現役介護職員の健康に働くための<食事の秘訣>とは。「誰かの健康法を真似るのではなく、自分の体と相談しながら考えて」
◆祖父とお地蔵さんの思い出 幼少のころ、私はよくお地蔵さんや、お寺にお参りをしました。 今でもうっすら記憶の中に、祖父と参ったお地蔵さんが浮かんできます。 山の小さな祠(ほこら)に祀(まつ)ってあるかわいいお地蔵さんには、赤い前掛けが掛けてありました。 祖父はお祈りをしたあと、お供えの水を笹の葉ですくい、痒(かゆ)くて赤くなった私の目に何度か振りかけてくれました。 「目にありがたいお地蔵さんで、このお水のおかげで恵美子と同じように目が赤くなり、痒(かゆ)くて困っていた子の目がようなった(良くなった)そうだ。お地蔵さんに頼んだら恵美子の目もようなる。どうか治してくださいってお祈りするだ」 祖父や祖母が大好きだった私は、いわれるままお祈りし、お供えの水で目を濡らしながら、「ようなりますように」と祈ったものです。
◆一見健康そうに見える人でも、他人にはわからない悩みがあるもの。 大人になってからも状態は良くならず、赤目と痒(かゆ)みに悩み、25歳のころに「痒(かゆ)みの原因は睫毛乱生(しょうもうらんせい)だ」と診断され、逆さ睫毛(まつげ)であることがわかりました。 一見健康そうに見え、日常生活にはなに一つ不自由がなくても、人には他人にはわからない痛みや悩みがあるものです。 お地蔵さんのご利益は気休めでしかなかったかもしれませんが、今も健康に恵まれ、守られている自分を喜び、祖父や祖母が「女の子だで(女の子だから)、顔は大事だで(顔は大切)。なーなんなっとしてやらな(なんとかしてやりたい)」─そういいながら、注いでくれた深い愛情に心から感謝しています。 先日、生まれて初めて「やさしいまなざし」だと、私のしょぼくれた目を褒(ほ)めていただけることがありました。 亡き祖父母にも伝えたい、そう思いました。 ※本稿は、『93歳、支えあって生きていく。』(Gakken)の一部を再編集したものです。
細井恵美子
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