「ドライアイの男性」は歯周病に要注意? 歯科医師が明かす「意外な研究結果」と「万全の予防策」
ドライアイとは涙不足などが原因で、「目が疲れる」や「目がゴロゴロする」などの症状が出て、スマートフォンやパソコンを長時間、使用する機会が多い近年では発症する人が多くなってきていると言われる眼疾患です。国内のドライアイ患者は1200万人以上いるとされ、眼科患者の約2割が該当するといいます。 【写真】なぜ丁寧に歯を磨いても「口臭」は消えないのか?歯科医が教える本当の理由 一方、歯周病は、2001年ギネスワールドレコーズで「全世界で最も蔓延している病気」と認定された日本の成人の8割が罹患していると言われている疾患で、日本人が歯を失う原因の1位となっています。 この一般的な疾患の両者ですが、最新の研究でドライアイは歯周病と有意に関連することが分かりました。つまりドライアイの診断を受けた人ほど、歯周病の罹患率が高いことが判明したのです。この意外な関係について、歯科医師の宮本日出先生に解説してもらいます。
ドライアイと歯周病に関連が…?
歯周病は口腔内に常在する歯周病菌が歯ぐきに侵入し、歯ぐきの腫れ、出血、口臭、歯の動揺や膿を出し、最終的に歯が抜けてしまう疾患です。 歯周病菌は歯ぐきだけに滞在せず、歯ぐきの毛細血管から全身に侵入し、全身を駆け巡るため、長期の全身炎症を引き起こすことから、さまざまな全身疾患のリスクが上昇すると指摘されています。 これまで世界で行われてきた研究では、ドライアイと歯周病の関連が疑われてはいましたが、科学的根拠に乏しく、日本での知見も不足していました。 そこで、新潟大学大学院医歯学総合研究科予防歯科が、40歳以上の日本人約3万6000人を対象にドライアイと歯周病の関連を研究し、その結果「ドライアイの診断歴や眼症状があると、歯周病にかかっている可能性が高い」と結論づけました。 予防と管理については「セルフケア・プロケアでの適切な口腔ケア習慣」を基に、総合的な健康の維持やライフスタイルの見直しなどが推奨されました。 歯周病の発症には性差があり、男性は女性より歯周病に罹りやすい傾向にあります(オッズ比1.5)。男性の場合、ドライアイの症状である眼の乾燥または異物感がある人では、これらの症状がない人に比べて、歯周病の診断歴がある人の方が有意に高い結果が出ました。 しかし一方で、女性においては、これらの眼症状は歯周病の診断歴と関連がなかったことが判明しました。これらのことから、男性は女性よりも歯周病のケアが必要なのですが、特にドライアイの男性はより歯周病への対策が不可欠と言えるでしょう。 今回の研究では、ドライアイと歯周病の直接的な関連メカニズムまでは解明されませんでしたので、今後の解明が待たれます。また近年では「ドライアイと頭痛」「ドライアイとうつ症状」との関連も指摘されています。 日本眼科医会の発表では、40歳以上の日本成人の17%がドライアイであると報告されていますが、「たかがドライアイ」ではなく「されどドライアイ」として、しっかりとした対策を心がけましょう。