「ドライアイの男性」は歯周病に要注意? 歯科医師が明かす「意外な研究結果」と「万全の予防策」
予防医療として注目を集める「プロケア」
一般の方は、歯医者で行う歯のクリーニングを「(歯の)メンテナンス」と呼び、また予防医療の必要性が重要視されている昨今では定期的にクリーニングすることを「予防歯科」とも言います。 しかし実際には「予防」しているのではなく「治療」しているのです。「?」と疑問を抱く人もいると思いますので、「プロケア」の正体をご紹介しましょう。 歯の表面には目に見えない薄い細菌膜が強力に付着しているのですが、この膜を専門的には「バイオフィルム」と言います。本当に悪い菌はこの膜の中に潜んでいて、菌同士が共生して生息しています。ムシ歯も歯周病も、この膜の中にいる菌が原因となり発症します。 そしてこの膜は、歯医者の専用の器材・薬剤を使用しないと除去できない特徴があるのですが、歯科医院で行ういわゆるメンテナンスではこの膜を除去しているのです。これは「バイオフィルム治療」といわれ、歯科での本当の予防医療として厚生労働省も重要視し、積極的に行う方針を打ち出しています。 「日頃、自分で行なっている歯ブラシなど『セルフケア』の意義は?」と、新たな疑問が浮かんだ人もいるでしょう。バイオフィルムに潜んでいる菌は、口腔内が汚くなると悪性度が短期間で高まるので、歯ブラシはこれを防ぐために行なっているのです。 だからセルフケアだけでは十分な予防にはならないので、「セルフケア」+「プロケア」のダブルケアが必要になってくるのです。歯医者でバイオフィルム治療を受けても、1ヶ月以内でバイオフィルムは再生されるので、1ヶ月ごとのプロケアを受ければ万全の「予防歯科」になります。
宮本 日出(幸町歯科口腔外科医院・院長)