“機械知能”はAIを超える? トヨタやユニクロも頼るNEXTユニコーン「Mujin」が挑む産業ロボット革命
Mujinに入っている「ものづくり」のDNA
Mujinの機械知能には、日本が得意としてきた「ものづくり」で得た職人たちの知恵が組み込まれていることも彼らが強調した点の1つだ。 ロセン「アメリカには人工知能をはじめ、高度な技術アイデアが山ほどあります。でも欠けているのは製品をつくる力なんです。だからこそ、世界で一番難しいと言われる日本の現場に伺い、そこでのノウハウを機械知能に入れ込んで、世界中で応用しようとしています」 滝野「生産の自動化というのは、職人さんたちがやっていることをデジタライズするということです。日本の職人さんたちが培った世界一の技術をデジタルデータとして残し、それを(機械知能として)世界中に広めるというのは悪くない道筋だと思っています」 Mujinの最大の強みは、実は創業以来13年以上にわたって日本の様々な現場を訪ね歩き、職人たちの知恵をデジタルデータに置き換えてきたことにあるという。 滝野「現場でロセンらエンジニアたちが一つ一つの事例を見て、プログラムやアルゴリズムをどんどん入れて、それでようやく機械知能が出来上がっています。やっぱりデータとアルゴリズムだけあれば簡単にできる世界ではなく、『時間と経験』がどうしても必要になる。Mujinは、その点において競合他社を圧倒しています」 泥臭い日々の積み重ねが、Mujinの機械知能の根幹を成しているのだという。 とはいえ、ディープラーニングをベースにした人工知能の進化は著しく、ライバル企業の中には、滝野の言うことを否定する向きがないわけではない。滝野自身、何度となく、「なぜ人工知能をもっと使わないのか?」という質問を受けてきたという。 人工知能を前面に打ち出すライバル企業が、続々と登場する中、日本のものづくり現場に通いつめ、多くのノウハウをソフトウェアに組み込んだというMujinの「機械知能」はこの先も快進撃を続けられるのか。「人工知能 vs. 機械知能」の勝敗は、少なくとも数年後にはハッキリと見えているのではないだろうか。 (敬称略) テレ東BIZ「NEXTユニコーン」コラボ企画 サウジ官民がラブコールを送る「東大阪の星」、DG TAKANOが見据える“節水ビジネス”の巨大な可能性
テレビ東京報道局プロデューサー 阿部謙一郎