「『出さない』のではなく『出せなかった』のかも」衆院選“静観”のN国党、背景に都知事選「掲示板ジャック」の大きな“代償”
10月15日に公示日を迎えた、衆議院選挙。街角には選挙ポスターの掲示板が一斉に設置された。今後、選挙戦が過熱していくものとみられる。 【写真あり】自分の“ほぼ全裸ポスター”を貼る女性モデル 選挙で思い出されるのは、2024年7月に実施された東京都知事選での“掲示板ジャック”だ。都知事選には過去最多の56人が立候補し、なかでもNHKから国民を守る党(以下・N国党)は、関連候補を含め24人を擁立した。その結果、掲示板に24枠を確保したN国党は、候補者とは関係ない人物にその枠を渡し、裸と思われるような破廉恥なポスターまで貼られる事態になった。この事態は、公序良俗に反するとの批判が巻き起こり、問題視されたことは記憶に新しいが……。 はたして今回の衆院選で、再び掲示板ジャックを狙うのか。N国党の関係者に聞くと意外な答えが返ってきた。 「今回の衆院選は、候補者をひとりも出さないんですよ。不戦敗ですね」 たしかに、N国党の立花孝志党首は、10月11日に国会内で行われた記者会見で次のように答えていた。 「いまのところ、党としての公認は出さない。小選挙区比例代表を含めて出さない。基本的には静観するという方向。ただ、政界引退を表明した足立康史前衆院議員と、衆院選に出馬せず、2025年夏の参院選に出馬することを示唆した、自民党の杉田水脈前衆院議員にラブコールを送った。 党内の混乱というのもありますし、ちょっとゆっくりと、いまの政局を見ておきたいと。いまここで我々の主張をしていくというよりも、あえて候補者を出さないほうが有利であると判断しています」 政治担当記者が解説する。 「都知事選での掲示板ジャックでかなりの批判を浴びたうえ、24人も擁立して、お金が底をつきたのかもしれません。衆院選に候補者を『出さない』のではなく、『出せなかった』のかも……」 ちなみに、掲示板ジャックについては、独自に条例を作る自治体も出ている。鳥取県では、10月10日に新たな条例を制定し、支持を呼びかける目的以外でポスターを掲示するのを禁止。違反した場合は選管が撤去できるとした。 こうした「掲示板ジャック」対策ともとれる動きを受けてか、前出のN国党関係者はこう語る。 「我々は、今回の衆院選ではなく、2025年の参議院選挙に集中し、議席確保に全力を投じるつもりです。そのため体力を温存することにしました。 ポスターについては、秋の国会で、公職選挙法が改正されることになるでしょう。なので、もうできないかもしれません」 都知事選での掲示板ジャックは、党の体力を相当奪ったとみられるが、あの異様な掲示板の光景を今後見ることはなさそうだ。
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