もったいなくて乗れなかったマイカー【3】「長い間、クルマを買い替えなかっただけで、旧車に乗っているという意識はありませんでした」
シリーズ:もったいなくて乗れなかったマイカー【3】1964年式 ダットサン ブルーバード 1200 【画像枚】シートカバーは当初ついていたカバーから型紙をおこし、純正と変わらないカバーを作ってもらったという。購入当時からカバーが付いているので、シート表面は当時の美しさを保つ。8トラックのカセットやラジオはいまだに可動する。動かなくなってしまったのは時計ぐらいだという 工場の一角には、410ブルーバード以外にもパブリカ、スバル360、フロンテといった旧車が並んでいる。 もったいないという意識をもってクルマに接してきたおかげで、古いクルマが増えていってしまったようだ。すべて中古車として手に入れたものだが、どれも美しくレストアされ、新車のごとく佇んでいる。 現在、自動車整備工場の多くを息子さんの世代に譲り、オーナー自身はクルマ以外の趣味、養蜂と畑を楽しんでいる。 養蜂では、現行車両に乗って山間部を走り回っているという。畑は工場近くにビニールハウスを建てて、野菜作りに励んでいる。 おかげで、旧車に没頭するということはなくなってしまった。しかしながら、愛情をもって接してきたクルマたちは今でも大切な存在だ。 「どのクルマも愛着がありますね。ブルーバードは一生懸命に働いた当時を思い出させてくれます。その他のクルマも、長年付き合っていると、気持ちが入ってしまいます。それぞれ、違う時期に手に入れたクルマたちですが、クルマを見るとその当時を思い出します」 モノとして大切にされてきたのはもちろんのこと、ともに歩んできた自身の歴史も大切に記憶してきたクルマたち。気軽にクルマを購入できなかった環境だったからこそ、クルマに対する愛着心は大きく、そばに置いてやりたいという気持ちが一層強くなったのだろう。 40年以上も1台のクルマに愛情を注いできたオーナー。本人は今回の取材を終えた取材班に対して、 「長い間、クルマを買い替えなかっただけで、旧車に乗っているという意識はありませんでした。ただ、古いクルマがもったいなかっただけですから。それなのに雑誌に取り上げてもらえるとは、正直驚いていますし、うれしい限りです」 と満面の笑顔を返してくれた。 初出:ノスタルジックヒーロー 2008年 08月号 vol.128 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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