【作者に聞く】「こんなママ友にイラッとしたことある!」仲良しママ友と夫の闇を暴くミステリコミック制作秘話
ママ友の言動に思わずイラッ…。そんな経験はありませんか? 優しい家族に囲まれて幸せな日々を送っていた主婦・赤松なつめが、「あなたの夫は不倫している。別れた方がいい」という不穏なメールを受け取ったことから始まるコミックエッセイ『ママ友4人の誰かが夫と不倫している』。物語の鍵を握るのは主人公のママ友4人。最後まで真犯人がわからないミステリ仕立てのストーリーに今、夢中になる人が続出中なんです。 【マンガ】『ママ友4人の誰かが夫と不倫している』を最初から読む そこで今回は、作者のぱん田ぱん太さんにインタビュー。この作品が生まれたきっかけをお聞きしました。 ■『ママ友4人の誰かが夫と不倫している』あらすじ 赤松なつめは、3歳の娘と夫と暮らす普通の主婦。育児に協力的でイケメンな夫と、かわいい娘との生活は、とても穏やかで幸せそのものでした。 なつめは、ちょっと弱気で大人しめな性格なこともあり、娘を幼稚園に入れる前は、「ママ友いじめ」や「ママ友カースト」があるのではないかと恐れていました。しかし、実際は全くそんなことはなく、素敵なママ友たちに巡り会えて人間関係は良好。経営するエステサロンも順調で「この幸せを守るために」と日々奮闘していました。 そんなある日、仕事を休めないなつめの代わりに夫が地域のお祭りの準備に参加することに。夫からは、ママ友たちと一緒に楽しそうに準備をしている様子の写真が送られてきました。夫のコミュ力の高さに安心して仕事に励んでいると、再び夫から1通のメールが。 『あなたの夫は不倫している。別れた方がいい』 えっ…!? これって一体どういうこと!?!? 状況から察するに、メールの犯人は4人のママ友のうちの誰か。夫は不倫を否定しますが、なつめは犯人を探し出すことを決意します…。 ■登場人物たちから証言を集めて不倫相手を推理する本格ミステリ ――まず初めに、この作品を描こうと思ったきっかけから教えてください。 ぱん田ぱん太さん:前作「ちっちゃくてかわいいワタシ~痛すぎる勘違い女の正体~」の担当編集さんともう一度コンビを組んで、完全オリジナル作品を作ることになったんです。いくつか企画をいただいた中から「4人のママ友の中から夫の不倫相手を推理するストーリー」という興味深いものがあり、即決しました! ――即決するほど惹きつけられるものがあったのですね! ちなみにストーリーは完全にフィクションなのでしょうか? ぱん田ぱん太さん:名目上は完全なるフィクションとさせていただいていますが、「誰かのフィクションは誰かのノンフィクション」です。私のこれまでの経験、聞いた話などで細かい設定を作っています。例えば、4人のママ友のキャラ設定などは、どれも私の「そういえばこんな感じの人が昔、周りにいたよなぁ」という記憶から作り上げています。 ――なるほど! だからすごくリアルに感じられるのですね。複数の登場人物から証言を集めて真相を究明する展開が、ミステリ仕立てで面白かったです。このような展開はどうやって思いついたのでしょうか? ぱん田ぱん太さん:「登場人物たちから証言を集めていく」などのおおまかな展開は編集さんのアイディアなんです。そこから私が細かい内容を創り上げました。それぞれの登場人物になりきって、「私がこの人で、こんな性格で、実は不倫相手だったら…? もしくは本当に不倫相手じゃないならば、ママ友からこう質問されたらどう答えるだろう?」と想像しながら作っていきました。 ――犯人は終盤まで明かされませんが、構成を組み立てるうえで意識したことはありますか? ぱん田ぱん太さん:「伏線の度合い」ですね。真犯人を推理するための伏線があまりにもわかりやすすぎると、すぐに答えに辿り着いてしまってつまらない。しかし、伏線があまりにも目立たなさすぎたり複雑怪奇であったりすると、真犯人が分かった時に「えっ? そんなの、分かるわけないじゃん」と冷めてしまいますから。 ■「こんな人にイラッとしたことある!」どこか共感してしまう4人のママ友 ――主人公のなつめはおとなしいタイプながらも着実に行動し、夫とママ友の嘘を暴いていきます。なつめというキャラクターを描く上で、どんなところにこだわりましたか? ぱん田ぱん太さん:主人公が聡明で、フッ軽で、強気だと、あまりにもサクサク勝ちルートを進んでしまって、それはそれでなんだか面白みが無いですよね。だけど、おとなしい性格だからといってうじうじしたり言いたいことを言えなかったりすると、読んでいる側はイライラしてしまいます。なつめはその絶妙な中間部分で動いてくれるキャラクターであるよう意識しながら描きました。 ――それぞれキャラの濃い4つのタイプのママ友が登場しますが、その狙いとは? ぱん田ぱん太さん:私は「読者さんからの共感を得ること」を常に意識しています。そのため、どれも皆さんが「あ、こんな人にイラッとしたことある!」と思ってくださるようなキャラ作りをしたんです。しかもそれが4種類となれば、この中のただの1人にも心当たりが無いという読者さんは、なかなか少ないのではないでしょうか。「数うちゃあたる戦法」とも言えるかもしれません(笑)。 *** 個性的なママ友たちに「こんな人いるいる!」と共感しきりのコミックエッセイ『ママ友4人の誰かが夫と不倫している』。もしかして自分の周りでもそんなことが…と考えだすと、思わず背筋が凍ってしまいますね…。 取材・文=宇都宮薫