韓国企業に勝って「世界一」を獲るにはこれしかない…東芝が泣く泣く売った成長株「キオクシア」上場で起きること
■モタモタしていると東芝の“二の舞”に そうした取り組みが進み成長期待が高まれば、キオクシアが中・長期的に生み出すフリーキャッシュフローは増え株価は上昇するだろう。東芝、ベインにとってもキオクシア株の売却を行いやすくなるはずだ。加速度的に事業環境が変化する中、成長の実現のため経営陣の果断な意思決定の重要性は高まる。 逆に、環境変化に合った迅速な意思決定ができないと、SKハイニックスがキオクシア株を取得するなど、同社を取り巻く利害関係者がさらに複雑化することも考えられる。東芝再建の難航の一因だったモノ言う株主が、キオクシアのAI向けの新しいメモリーチップの開発、量産体制、他社との連携などに介入し、成長戦略の実行が難しくなる恐れもある。 キオクシア経営陣が、次世代のフラッシュメモリーの研究開発に取り組み、それを実用化し収益の増加、株価上昇を実現できるか、今後大いに期待したいものだ。 ---------- 真壁 昭夫(まかべ・あきお) 多摩大学特別招聘教授 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。 ----------
多摩大学特別招聘教授 真壁 昭夫