海外ではいまだ大人気!! でも……[日本人]のお口には合わなかったらしい名車5選
■トヨタのカムリをもってしても国内のセダン市場縮小には歯止めがかからず……
1980年に日本で誕生して以来、100を超える国や地域で販売されているカムリ。米国で15年連続乗用車販売台数ナンバーワンを獲得するだけでなく、2016年には販売台数が世界累計1800万台超えを達成するなど、名実ともにグローバルモデルとしての地位を確立した。 そんな"人気モデル"のカムリが発売から約24年後の2023年12月に国内販売を終了。 ちなみに、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が発表した2023年1~12月乗用車ブランド通称名別順位でカムリは8825台の50位にランクイン。日本でも決して売れていないというわけではないが……。 2017年7月に登場した先代型カムリはTNGAに基づくエンジンとプラットフォームの一新を受けたが、その一番の魅力は磨き抜かれた美しいスタイリング。 外観のデザインはエンジンと乗員レイアウトを下げることで低重心シルエットを実現し、フロント周りもスリムなアッパーグリルと立体的なロワグリルを対比させてワイドなスタンスを際立たせている。 また、インテリアも部品の小型化やレイアウトの見直しでインパネの厚みを抑えたほか、エンジンフード、カウル、ベルトラインを下げて視界を良くするなど、スポーティかつ広がり感のある空間を実現している。 他にも、液体封入式エンジンマウントの最適配置による上質な乗り味、ボディのねじれ現象を抑制する環状骨格構造の採用による優れた操縦安定性、最大熱効率41%と高出力を両立したダイナミックフォースエンジン2.5Lと進化を続けるハイブリッドシステム(THSII)の組み合わせによる33.4km/Lの低燃費と優れた動力性能の両立など、特筆点は枚挙に暇がない。 世界的に評価が高いカムリの新車が、その生まれ故郷である日本ではもう買えないとは、何とも皮肉な話である。
■インドで大人気のスズキバレーノは"なんで日本では売れなかったの?"
スズキの小型乗用車作りのノウハウを駆使し、デザイン、居住性、走行性能、安全性能などコンパクトカーに求められる要素を高次元で調和させたバレーノが発売されたのは2016年3月。 その後、2020年7月に国内での販売が終了し、わずか4年という短い車生に幕を閉じた。それだけに日本ではマイナー車のイメージが強いが、その中身を見てみると"販売終了が惜しい"と言わざるを得ないスペックだったことがわかる。 例えば、走りを重視する人も満足できるターボモデルの設定。燃費とパワーを両立する新開発の1L直噴ターボエンジンは、直噴化と過給器によって1.6L自然吸気エンジンに相当する高出力、高トルクを実現。トランスミッションにもダイレクトなシフトレスポンスを味わえる6速ATを採用するだけでなく、6速マニュアルモード付きパドルシフトも装備されていた。 加えて応答性が高く、安定感のある操縦性とロングドライブでも快適でしなやかな足回りもまた秀逸で、サスペンションフレーム構造を最適化することで軽量化と高剛性を両立。フロントとリアにはスタビライザーを採用するなど、コンパクトハッチバックたる軽快な走りも見どころであった。 また、Bセグメント用の新開発プラットフォームによるゆとりある居住空間と荷室スペースの確保や衝突被害軽減システムをはじめとする先進安全技術の導入など、グローバルコンパクトカーとして欧州をはじめ、世界の市場に展開された。 先述のとおり、日本では2020年7月に販売が終了したが、インドでの人気は絶大を誇り、2021年11月には累計販売台数が100万台を突破。2022年2月にはフルモデルチェンジを行い、インドをはじめ、アフリカ、中南米、中東などでの販売が発表され、現在も販売が行われている。