温暖化で福島沖にトラフグ急増? 給食で「ふぐめし」提供
福島県相馬市教育委員会は25日、「福とら」のブランドでPRが進められている地元産の天然トラフグを市内の全13小中学校の給食で提供した。児童生徒たちは、フグのだしを取り、フグの身や野菜を合わせた混ぜご飯「ふぐめし」を味わった。 高級魚のトラフグは山口県などが主な産地だったが、地球温暖化による海水温の上昇で生息域が北上したせいか、近年は福島県沖で水揚げが急増。県によると、東日本大震災前まで毎年2トン弱だった漁獲量は2021年が約28トンと急増し、22、23年と2年連続で30トンを超えた。相馬市では漁業者や観光業者が連携し、ブランド化を図っている。 市立桜丘小では給食の前に、相馬双葉漁業漁業協同組合ふぐ延縄(はえなわ)操業委員長の石橋正裕さん(45)が5年生たちに食育の特別授業を行った。海水温が上昇する中、近年は県沖でコウナゴやズワイガニが取れなくなっている一方、トラフグの漁獲量が急増する現状を説明。漁や競りの映像を交えながら、漁獲数の上限を設けるといった持続可能な資源管理や、ブランド化に向けた取り組みを紹介し、児童たちの質問に答えた。 「ふぐめし」を完食した5年生の加藤あいらさん(11)は「フグを食べたのは初めて。こんなにおいしいんだ、と驚いた」と感激していた。 石橋さんは「今の小学生は震災後に生まれた子たち。すぐ近くの海でこんな魚が揚がっていることや、震災後に漁業を進めてきたことを伝える機会になれば」と話していた。【尾崎修二】