「4年目に他の選手と同じ練習ができれば……」→3年目で駅伝デビュー 名城大学・上野寧々、監督の想定を超えた成長曲線
うれしさより、悔しさが残った駅伝デビュー戦
入部当初は「どの練習にもまったくついていけないぐらい、きつかった」と上野は振り返る。だがその後、彼女が描いた成長曲線は、米田監督の想定をはるかに上回った。「3000mはこの秋に約40秒短縮して、9分30秒まで来ました。5000mも大学に入って2回目のレース(10月13日のダイソーチャレンジ)で16分15秒を出して、1回目の5000mから30秒もタイムを縮めてきました」。上野自身は成長の要因について「慣れ」を挙げる。「高校までは部活に力を入れている学校じゃなかったので、初めての寮生活や1日の流れをみんなから吸収して、『こういうことをしたら競技力につながるんだな』と学ばせてもらっていました。徐々に慣れていって、チームのみんなが引っ張ってくれたおかげです」 全日本大学女子駅伝での2区抜擢(ばってき)は、「他のチームメートもうかうかしていられないし、頑張ればできる。強くなるために努力した結果は、必ず報われる」(米田監督)というチームの意思を示したのかもしれない。トップと44秒差の9位で襷(たすき)を受けた上野は区間10位で、駅伝デビュー戦を終えた。チームは連覇が7で途絶え、4位でフィニッシュした。憧れが現実となった感慨深さと、結果に対する悔しさでは、どちらの感情が大きいですか、と上野に尋ねると「悔しさの方が大きいです」と返ってきた。 「昔から憧れていた舞台だったので、出場できたことはうれしかったんですけど、自分の力を発揮できずに終わってしまったので、悔いが残るレースでした。トラックレースと駅伝は全然違う。駅伝の難しさを実感しました」
チームとして全日本の悔しさを富士山にぶつける
チームは谷本七星主将(4年、舟入)を中心に、年末の富士山女子駅伝で雪辱を果たすべく、動き出している。「今までの取り組みの中で、どんなところがダメだったのかをみんなで振り返って、改善して、富士山に向けて切り替えていこうという雰囲気になっています。全日本での悔しさを富士山にぶつけられるように、みんなの刺激になるような走りをして、チーム全員で上がっていきたい」と上野。これから待ち受ける、熾烈(しれつ)なメンバー争いに向け、今回のレースで、まずは確かな一歩目を刻んだ。
井上翔太