「プロ野球90年」巨人ファン・井森美幸さんが語る野球の魅力 「2軍落ちして『桑田ロード』を走っていたタレントでした。野球はいろんな人生を教えてくれる」
桑田さんも斎藤さんも2日前とか3日前に投げていましたけど、「3本柱」による継投。「総力戦でいきます」とは言うけれど、本当にいくんだなって、あれはやっぱりすごかった。移籍したての落合博満さんが前の年まで同僚だった今中慎二投手からホームランを打って、すごく物語がある試合でした。やっぱり長嶋監督は、何か持っていらっしゃいますね。 ▽平成の大エース 斎藤さんは本当にすごいピッチャーでした。沢村賞を3回取って、11試合連続完投勝利に2年連続20勝。考えられないですよね。「10・8」では2番手で5回を投げた。普段はやらないリリーフの難しさもある中での大仕事だったと思います。 あまり派手さはなくて、淡々と投げる感じなんですが、ちょっとくたびれたような顔に見えるときでも完投したり完封したり、積んでいるエンジンが違うんですよね。バッティングもいいし、フィールディングもとにかくうまかった。すごく頼れる「平成の大エース」でした。仕事でお会いするとすごくお人柄が良く、温厚で朗らか。いつも「斎藤さん、本当にすごいですよね」と伝えるんですが、「いや、そんなことないよー」ってにこにこしています。 子どもの頃はやっぱり王さんがヒーローでしたし、中畑清さんもすごく元気があって好きでした。大人になると、川相昌弘さんのすごさも分かります。地味ですけど、緊迫した場面で送りバントをきちんと決める川相さんはやっぱりすごい。「明日への送りバント」という本を出されているんですが、なるほどなと思うことがたくさん書いてあります。野球を知れば知るほど、記録を持っている人のすごさは実感しますね。
▽この空間を楽しみたい 昔は圧倒的に巨人ファンが多い社会でしたが、今はずいぶんプロ野球を見る目線が変わってきたと思います。プロ野球界における巨人の立ち位置も変わってきたし、おそらく球団もそれをすごく理解していて、違った形でアプローチしようとしていると感じます。 今シーズンは負けた試合の後でも必ずグラウンドに整列して、あいさつをしていました。私は地方出身で、たまに地元の親戚と一緒に野球を見に行くことがありますが、田舎の人って勝っても負けても「最後まで選手を見たいな」と思うんです。年に1回しかないような楽しみなので、最後までこの空間を楽しみたい。あれは地方から出てきている子どもたちとか、おじいちゃんおばあちゃんたちがみんな喜んでいると思います。「試合は負けちゃったけど、阿部監督や岡本さんが見られた」というのが年に1回の楽しみになって、「また来年来たいな」という思いにつながるんですよね。