オリックス中嶋監督の電撃辞任とソフトバンク小久保監督の言葉に思うこと 王者に求められる姿、風格【#好球筆打】
【コラム・好球筆打】 オリックスを率いた中嶋聡監督(55)が6日の楽天戦後、今季限りでの辞任を電撃表明した。監督就任1年目の2021年から昨季まで3連覇を達成。22年にはチームを1996年以来の日本一にも導くなど、一時代を築いた名将の仲間入りを果たした一人だった。 ■来季構想外となった選手【一覧】 辞任については「3連覇したチームと思えないくらい優勝争いにまったく絡めずに終わってしまったのが、本当につらかった」と語ったそうだが、個人的に目が留まったのは監督就任後から選手に求め続けた全力疾走など最低限の約束事が今季は「改善されなかった」と後悔の念を理由に挙げている点だった。 その点について7日、みずほペイペイドームでクライマックスシリーズ(CS)へ向けての練習を再開したソフトバンク小久保裕紀監督(52)に尋ねると「3連覇して、優勝争いに絡めない中でそういう形(辞任)になってね。中嶋さんらしいといえば、らしい」とライバルチームを率いた指揮官の現実に寂しげな表情を浮かべながらも「勝っている時に当たり前のことを当たり前にするチームを作るというのが、一番大切なんじゃないですかね」と自らに言い聞かせているようでもあった。今季、新人監督最多の91勝を挙げた指揮官の言葉だけに、重みがある。王者には、王者としての姿、風格が求められる。そういうことか。 思えば今年の開幕戦直前、小久保監督はチームへ向けた訓示で「プロフェッショナルとは何ぞや」といった自身の思いを熱く説いた上で「おのおのが誇りとプライドを持ち、替えのきかないプロフェッショナルであれ」と鼓舞していた。その「プロフェッショナル」としての在り方の一つには当然、中嶋監督が辞任理由に挙げていた「全力疾走」の徹底も含まれている。だからこそ、強く共感する部分があったのだろう。 チームの将として迎える初のCSは、16日からのファイナルステージとなる。自らが手塩にかけて作り上げた「プロフェッショナル集団」の先頭に立ち、一丸となって、4年ぶりの頂点となる日本一を目指す。(石田泰隆) 【#OTTOホークス情報】
西日本新聞社