老舗酒造が手がける〝脱炭素〟日本酒とは<シリーズ SDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】
小田原かなごてファームのソーラーシェアリングは7号機まで拡大し、農地は9000坪にまで広がった。小山田さん自身が栽培する以外にも、市民農園として開放して、地域ぐるみで自然栽培による米作りをしている。 また、ファームではミカン畑の耕作放棄地も再生している。ミカンのジュースと「推譲」を組み合わせてスパークリングにした「おひるねみかん酒スパークリング」も開発した。「おひるね」は、耕作放棄地を「おひるねしていた畑」と表現したのが由来だ。 ■〝脱炭素〟をもっと意識してほしい 自然栽培米の収穫や「推譲」の生産は軌道に乗り、2025年も2月から仕込みを始める。さらなる生産拡大を目指しているものの、小山田さんはソーラーシェアリングのために耕作放棄地を確保するにはまだハードルがあると話す。 「全国各地でメガソーラーによる環境や景観への影響が問題になっていることもあり、太陽光発電にネガティブなイメージを持っている土地所有者もいます。それでも、耕作放棄地は増える一方なので、ソーラーシェアリングの取り組みに理解を求めながら、農地の確保を進めています」 井上さんは「推譲」に込めた〝脱炭素〟のメッセージを、もっと多くの人に伝えていきたいと感じている。 「『推譲』で伝えたかった、気候変動を抑えて自然を守っていきたい思いは、まだまだ広がっているとは言えません。ただ、今年の異常な暑さや、米不足が起きていることによって、気候変動を身近に感じる人は増えているはずです。日本の食料自給率が低迷している中で気候変動が進めば、今以上に農作物に影響が出ます。もっと農業に関心を持ってもらうとともに、脱炭素の取り組みにも目を向けてもらいたいですね」(「調査情報デジタル」編集部) 【調査情報デジタル】 1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。
TBS NEWS DIG Powered by JNN