仲里依紗の演技はいつだって“面白い” 『おむすび』でも活きる“友達のような”親しみやすさ
ついに“伝説のギャル”が糸島に帰還した。朝ドラ『おむすび』(NHK総合)で、主人公・米田結(橋本環奈)の姉であり、米田家の心配の種、博多ギャル連合(ハギャレン)のメンバーにとっての神でもある米田歩が、第4週目から本格登場する。 【写真】21日から本格登場!仲里依紗出演シーンの先行カット 歩は、結にとって心のひっかかりになる存在であることが、第3週目までで詳細に描かれてきた。高校に入学した途端、歩の妹かと言われ、ハギャレンメンバーからは、“あゆの妹”としてしつこく勧誘を受ける。歩がギャルになったことで、2人の父・聖人(北村有起哉)は、極度の心配性に。しかも聖人の過干渉を受けるのは、結なのだ。 歩の影響を色濃く受けながらも、結は少しずつ自分だけの高校生活を切り開いていった。書道部の風見先輩(松本怜生)や恵美(中村守里)、糸島に野球留学してきた翔也(佐野勇斗)と出会い、ハギャレンメンバーとも、結らしく距離を縮めながら仲を深めてきた。第3週のラストでは、ギャルの掟の一つである“ダサいことはするな”を真に理解し、もう一段階深くギャルに寄り添うようになった結。ハギャレンメンバーも結を、“あゆの妹”ではなく、結自身と向き合うようになった。 ここまでのストーリーで、歩は結にとってハードルのようなものとして存在していた。ほぼ写真でしか登場していないにもかかわらず、その存在感は絶大だ。結が、歩を乗り越えかけたところでの満を持しての登場。どうしたって期待を寄せてしまう。 歩を演じるのが仲里依紗であることも、期待を大きくさせる要因の一つ。少女漫画雑誌『ちゃお』のモデルオーディションで特別賞を受賞したのを機に芸能界入りした仲は、2006年頃から出演作を増やし、アニメ映画『時をかける少女』では主人公・真琴の声優を務めるなど活躍。2010年頃には、『つるかめ助産院~南の島から~』(NHK総合)や『レジデント~5人の研修医』(TBS系)など主演を務めることが多くなった。王道ヒロイン役、陰のあるミステリアスな役、悪女役など、さまざまな役柄を難なくこなす演技派女優の一人だ。 若い頃から活躍する実力派であり、目鼻立ちのくっきりした目を惹く美しさがあるにもかかわらず、不思議な親近感があることも仲の魅力の一つだろう。2020年から始めたYouTubeでは、メイク動画や夫・中尾明慶と息子との生活、楽屋ルーティン、CM、ドラマ撮影の裏側などを投稿しており、仲がYouTubeのカメラの前で語る姿を見ていると、友達の話を聞いているような感覚に陥るほど、親しみを感じられる。 YouTubeを始めて以降、仲自身のテンション感が生かされた個性ある役柄を任されることも増えてきた。Netflixオリジナルドラマ『離婚しようよ』の黒澤ゆい役や『不適切にもほどがある!』(TBS系)犬島渚役などはコミカルなリアクションを見せるシーンも多く、仲のパブリックイメージと合致することで、キャラクターがより際立った。これまでに培った演技力はそのままに、任されるキャラクターの幅が広がり、いつ見ても面白く深みのある芝居を見せてくれる俳優として、業界からも視聴者からも信頼されているように感じられる。 『おむすび』は、結のにぎやかな高校生活、ギャルとの交流などコミカルな一面もありながら、阪神淡路大震災によって米田家が負った深い傷にも触れていくシリアスな一面もある。結が震災により明確な夢を持てず、何事にも受身になってしまうように、歩がギャルになったことや奔放な振る舞いをするのにも、何か理由があるのかもしれない。歩役は、仲がこれまで培ってきた剛柔併せ持つ自在な演技力が活かされる役柄と言えるだろう。 仲は、作中の結と同じ平成元年生まれで、『おむすび』でもたびたび名前が挙がる浜崎あゆみの大ファン。コギャルに憧れていたこともあったという。『おむすび』放送開始から一カ月目のキーパーソンとして、仲はどんな芝居を見せるのか。心して見届けたい。
古澤椋子