トヨタ・スズキ・日産…自動車メーカーがモビリティショーで示す、新たな〝共創のカタチ〟
水素燃料電池 新材料マッチング検討
電動化や知能化など自動車産業が変革期を迎えている。競争が激化する中、新たな価値を早期に市場投入するためスタートアップとの連携といった仲間づくりがカギを握る。15日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕したビジネスイベント「ジャパンモビリティショービズウィーク2024」でも新たな“共創のカタチ”が示された。 【写真】スズキが開発を進めている水素FC荷役運搬車 カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けクリーンエネルギーの利活用がテーマだ。 トヨタ自動車は「ポータブル水素カートリッジ」を紹介した。同カートリッジから供給した水素で調理するグリルをリンナイと共同開発。「食に結び付けることで水素に安全なイメージを持ってもらいたい」(トヨタ素形材技術部)とし、調理機器以外にも新サービスや機器の共創を狙う。 スズキは水素燃料電池(FC)荷役運搬車の開発を進める。FCの活用方法やコスト削減に向けた新材料などでマッチングを検討。「新技術の素早い提供など小回りの利く部分を求める」(経営企画本部)と期待する。 電気自動車(EV)の普及に向け、日産自動車は車両データを事業に活用する法人向けサービス「ニッサン・ビズ・コネクトAPI」を提案する。車両の位置情報や電力消費量などのデータを顧客のサービスに連携する。現在、セイコーソリューションズ(千葉市美浜区)やゼンリンデータコム(東京都港区)が導入を検討。「パートナーと組み車の価値を上げる」(日産ビジネスパートナーシップ開発本部)方針だ。 三菱自動車は共同出資会社イブニオン(川崎市中原区)を通じ、EV関連サービスのプラットフォーム(基盤)サービスを提供。パートナーのサービスと結び付け、EV導入から運用、充電器設置などのソリューションを提案する。 新たな価値提供でパートナーが果たす役割は大きい。ホンダは着座型で両手が自由に使えるパーソナルモビリティー「UNI―ONE(ユニワン)」を展示。拡張現実(AR)と連動し車両が動くといった移動を楽しめる。新たな移動体験に向けコンテンツメーカーなどを探索する。中原大輔UNI―ONE事業開発責任者は「独創的なアイデアにより一緒に高い価値を生み出せる」と期待する。 SUBARU(スバル)は東京・渋谷に設けた人工知能(AI)開発拠点「SUBARU Lab(スバルラボ)」でスタートアップとの連携に取り組む。スバルラボの金井崇副所長は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域での仲間づくりで、早期に価値を提供できるかどうかが問われる」としサードパーティー(外部の開発者)との協業を進める。 マツダは「走るよろこび」を提供するためのパートナー探索を狙う。人を中心に据えた人間工学や感性工学の研究テーマを紹介。「マツダを知ってもらい、興味を持ってもらいたい」(R&D戦略企画本部)としてブース中央にスポーツ車「ロードスター」のミニチュアモデルを置き来場者とのコミュニケーションに備えている。ダイハツ工業は生活の足である軽自動車を使う地方の人口減少を「自分事」ととらえ、地域が直面する課題への取り組みを披露。「地方を元気にしていく仲間を探したい」(くらしとクルマの研究部)と出会いに期待する。 商用車ではいすゞ自動車とUDトラックスが合同で出展。自動運転、コネクテッド、カーボンニュートラル関連技術を中心に協業を目指す。三菱ふそうトラック・バスは自動追尾型EVゴミ収集車を初公開した。「カメラの認識精度を高める技術を持つパートナーなどとのマッチングを期待する」(開発本部アドバンスエンジニアリング部)。日野自動車は「ラストワンマイル(目的地までの最終区間)配送」時の使い勝手を追求したEV小型トラックを提案した。