店主自ら狩猟も! 上質なジビエのコースを1万円台で楽しめる、隠れた名店
川井さん「濃厚とはまさにこの味を指すのだなと思うほど旨みのあるスープで、その素材を活かした味を楽しめます。命をいただいていることを意識し、動物の生態を含めて食べている餌などの情報まで頭に入れて食べるようにしています。ストーリーを知り、イメージを膨らませることでジビエ料理はもっと楽しくおいしくなるのだと思います。」
ジビエを究めるということは、個体を知るということ。ジビエは餌が味に大きく影響するため、どんなものを食べていたかを想像して、料理に反映させるのも中里さんのスタイルだ。
「みかんを食べていたアナグマは独特の甘みがあって、爽やかな香りがある。雑食性なので魚なども食べますが、果物も大好きなんです。アナグマでフォンを取って、みかん果汁に合わせたソースで食べると脂のぷるんとした甘みがより引き立ちます。ヒグマはハンターさんからその週に使う分だけ届けてもらっています。急速冷凍をかけて-40℃で保管をしておくんです。そうすることによって脂の香ばしさや噛むほどにどんどん味が膨らむヒグマの個性を損なわずに調理ができるんです」と中里さん。
川井さん「鹿、猪、鴨のみならず、熊などジビエ全般が得意で、気になるにおいは一切なく処理も完璧。調理方法もフレンチ風だったり、スパイスを使ってみたりとその個体の性質、状態などを考えて一番おいしい方法で食べさせてくれるのがうれしいです。」
ジビエの旨みがたっぷりと凝縮されたカレーはついおかわりしたくなる!
コースに登場する料理の中でも常連客のファンが多いのがジビエカレー。“カレーの街”神保町にも近いエリアで「専門店顔負け!」と絶賛されているカレーは、オニオングラタンスープと同じくジビエの端材まできちんと使い切るための料理でもある。ライスは鴨出汁で硬めに炊き、バターと合わせてコクをプラス。何種ものジビエの出汁を合わせたソースとの“華麗なる”ハーモニーにうならずにはいられない。
名パティシエ直伝のレシピで作る極上の“鴨プリン”でフィニッシュ!
たっぷりジビエを堪能した後のデザートは、なんと鴨の卵を使ったプリン。鴨の卵は鶏卵に比べて味が濃厚でプリンに使うとまろやかな舌触りに。ほろ苦いカラメルソースと相まって至福と口福を運んでくれる。