薪火×発酵から生まれる新たな本格和食! 日本料理の新時代を担う若手料理人の世界観に迫る
本田:自分の中で料理をこういう風にしたいとかあるの? 料理の哲学というか、こういう料理を作るんだとか、 逆にこういう料理は作らないとか。
國居:基本的な軸でいうと、作っていて、考えていてわくわくするかどうかが自分の中では大きいですね。あとは出会い。生産者さんとのご縁と、そこからどれだけわくわくが生まれるか。すごく良い食材と出会うよりは、誰も知らないものを作りたいなというのが少しあります。自分の色を出したいわけではないんですけど、誰もやってこなかったことをやりたい。理想を言うのであれば、新しい何かを生み出して、それが将来スタンダードな形になる根源みたいなものを生み出せたら。それはおもしろいことだなあと思っています。自分の中で常に考えていることの一つですね。 本田:それ大変だよね。メニューのクリエーションのときに、全部ゼロからスクラッチで作らなきゃいけない。すでにあるものだったら、それをどう自分の料理にしようか考えればいいけど、何もないわけでしょ。 國居:日々いろんなところに出掛けて、時間がある限りは、アイデアのきっかけ作りを極力やりたいなと思っています。 本田:料理のアイデアを作るとき、料理以外からも考えることがある? 森に行くというのも一つあるでしょ。 國居:自然に触れることは、料理に関係なく、やっていると思います。森でキャンプして、道端の草とかつまんで食べたりして。その中からいろいろと生まれることが多いですね。逆に、仕事中に料理の新しいアイデアが生まれることはないです。料理に全然関係ない、夕食の会話の中とか、知らない人としゃべっているときとかにアイデアに気づくこともあります。他ジャンルの人に触れることはすごく大事にしています。
國居:近い将来までしか考えていないというのが正直なところです。3年単位で考えると3年前、想像してなかったことが今、できている。うまく縁が転がって、勉強もしてステップアップできたのかなと思っています。これからも出会った縁を大切にしていきたいですね。独立しないのってよく言われますが、独立しようとかは一切思ってないです。それより今やるべきことをやりたいですね。 本田:20年前ぐらいと違って、今は時代の変化が激しい。昔は何か目標を持って生きた方がよかったけど、今は、あんまり決めつけすぎないで、サーフィンと同じでいい波が来たときに乗れるような準備をしておくぐらいがいい。 國居:今は自分の力をつける、土台をしっかり安定させる時期なのかなと思っています。基本的に何でも自由にやらせてもらえているので。だからこそ、自分という形を作る時期かなと。でもそんなふうに形を決めつけたくないなとも思っています。 本田:今はそういう時代かな。世の中、すごく変化していて、レストランのあり方も変わってきている。 國居:昔だったら、ほとんどの人が独立を目指してやっていたと思うんですけど、僕は、それは絶対じゃないと思っていて。料理人でも絵を描く人でも、モノを生み出す人の横にはマネージメントしてくれる人がいる方が合理的かなと思っています。料理をしたいとなったときに、他にやらなきゃいけないことがたくさん出てきて、それらをこなせる自分がイメージできないですね。 本田:料理にフォーカスしたい? 國居:今は料理が楽しいです。