薪火×発酵から生まれる新たな本格和食! 日本料理の新時代を担う若手料理人の世界観に迫る
本田:酒井商会のヒデ(酒井 英彰さん)から「國居は働く前から器を相当集めている」と聞いた。京都だと少しはいるかもしれないけど、東京で若いときから器を集めている人はなかなかいない。面白いなと思って。集め始めたのって何歳ぐらい? 國居:ちょうど20歳です。「小室」で修業を始めた、一年目ぐらいのときからです。
本田:なんでまた、集めようと思うようになったの? 國居:やっぱり親方の影響が強くて。器がすごく好きな人なんです。年に数回、金沢とか地方に行くんですけど、そこで親方と一緒に器屋や作家さんの所に行く機会がありました。その時、いいなと思ったのを勢いで買ったのがきっかけですね。 本田:給料分、全部、払っちゃうみたいな。 國居:最初に買った器が古伊万里で、今でも使っているんですけど、当時で自分の給料より高い値段でした。結構、震えましたね。生活していけるかなという不安もありながら、そういうことを繰り返していたら、ちょっとずつ感覚が麻痺して、欲しいものは買うようになりました。未だに器は大好きで、いいなと思ったら買っちゃいます。 本田:20歳から集め始めて、楽しくなっちゃった。 國居:完全に楽しくなりましたね。僕の中では料理は器とセットというのがすごく強い。料理を考えるとき、一緒に器も考えています。料理している感覚で器を買っているかもしれないですね。 本田:器はどうやって勉強したの? 國居:最初は完全に親方の見よう見まねです。本を読んで勉強することもあります。そこから自分の色をつけたいなと思うようになって、最初の頃は、よく失敗しました。最近は、ようやく少しずつ自分の形だとか、好みがわかってきたところです。 本田:器にハマるかどうかは分かれるよね。忙しくてそんな暇ないし、疲れているから勉強するのが嫌みたいな人もいるじゃない。 國居:僕の場合、器は仕事なんですけど、遊びと趣味の延長にもなっています。楽しくてしょうがない。昔から好きになったらとことんハマる気質があるようです。ハマると抜け方がわからなくなるぐらい。偏っちゃうことが多いかもしれないですね。