薪火×発酵から生まれる新たな本格和食! 日本料理の新時代を担う若手料理人の世界観に迫る
本田:薪はどう? 薪って難しいじゃん。使い始めて何年経つんだっけ。 國居:2年半ぐらいです。薪は火の変化がすごく激しいので、そこがおもしろいと思っていることの一つです。お客様に聞かれると、炭のようにバチッと焼くのに対して、オーブンまではいかないですけど、包み込んで柔らかく火を入れていくと表現しています。完全には扱い切れなくて、熱が流動的であるからこそ、いろんな発見があって、そこがすごく楽しい。
本田:そもそも、使う薪によっても違うしね。季節によっても違う。 國居:薪を変えるだけで、香りが変わるのも魅力的です。 本田:薪は何を使ってるの? 國居:ブナとサクラが多いですね。あとは剪定したブドウの木。 本田:ブドウの木はどう? 使ってみて。 國居:個人的には香りが甘いと感じていて。わかる人、どれだけいるんだろうというレベルですけど。ただ、細いじゃないですか。燃えちゃうのも早くて、ブドウの木だけで熱源をキープするのは難しいです。だから香り付けで使っています。 本田:いろいろやってみないとわからないよね。 國居:他の木でもおもしろいものがいっぱいあるんだろうなと思います。 本田:「薪鳥新神戸」って行ったことある? おもしろいよ。焼き鳥を薪でやる。ある意味クレイジーだし、大変だと思う。 國居:相当クレイジーですよね。身が小さいから、本当に難しいだろうなと思います。疋田さん(「薪鳥新神戸」シェフ)は一度、来てくださったことがあります。 本田:これまでの焼き鳥を変えるよね。すごくジューシーな感じに仕上がる。香りもそうだけど、あのジューシーさは炭だと出てこない。今、薪ブームだから、まねして薪をやる人たちがいるけど、なかなか難しいよね。流行りで手を出したら大変なことになる。薪の設備を導入したら、他には使えない。新しいものが生まれるきっかけにはなると思うんだけど。 國居:いろんな人が使えば、新しいスタイルが出てくると思うんです。難しいとは思うんですけど、どんどん増えて欲しいなと思っています。