高齢者向け風俗は「心のふれあい重視」。家事、入浴…“レンタル奥さん”に高まる需要
奥さんと死別した高齢男性のレンタル奥さん
「うちのコースには、お話を楽しんだり手をつないだり、心のふれあいを中心としたデートコース(60分:6,000円)と、より性的なサービスを提供するデリヘルコース(60分:1万2,000円)があります。高齢者の多くが望むのは、デリヘルコースだとしても、話しているだけで終わるような、ライトなものが多いです」 性欲自体は薄くなっているので、ちょっとしたスキンシップで満足する人が多い。またデートコースでは、病院の通院の同行が多いという。 「デリバリーヘルスコースでも、料理や掃除、一緒に入浴したいという希望がほとんどです。高齢者向けの介護サービスでは、ヘルパーの指名はできませんよね。奥さんと死別されている人も多いので、タイプの女性を指名して、家事や病院同行をして欲しい。レンタル彼女ではなく、レンタル奥さんですね」 一緒に入浴したとしても、性行為までは望む人が少ない。していることは、限りなく介護サービスに近い。 「独身の高齢者は、一般の風俗サービスに行くのだと思います。うちのホスピタリティの高さや何かあった時には、介助ができるところにニーズがあると思います」 死別の寂しさからサービスを利用するが、「奥さんが生きていた頃は夫婦仲が良かった人」が多いのではないかとシュウ氏は想像する。 「傾聴することが多いとキャストから報告されるので、楽なんじゃないかというと違うんです。同じ話をテープレコーダーのように話す」 何度も聞いた昔の思い出話や若い頃の同じ話を、初めて聞いたかのように聞き、相槌を打つのは、心理的な負荷となる。
裸エプロンで家事をして欲しいという富裕男性
「鎌倉に住んでいる70歳を超えた常連さんがいますが、そのお爺さんも、キャストの体に触れることはないのですが、ビキニの上に裸エプロンで掃除や食事作りをして欲しいといいます」 そのお爺さんは、妻と死別し、子どもはもう巣立った大きな一戸建ての家で、1人暮らしをしている。 「食事は1階のリビングでするのですが、思い出の品を見るときは2階に上がります。サーフィンをやっていた人で、2階にはもう使っていないサーフボードがあるそうです」 本来であれば、家政婦を雇っていたのだろう。だが、一般の家政婦サービスでは、「裸エプロンでの家事」はしてもらえない。だから、「そんなことをやってもらえるところは他にない」と、同店をオンリーワンの存在として利用している。 「視覚的なエロを楽しむだけで、身体には触れません。だけど、それだけのことで、やっていることは同じでも、介護のバイト時給の3倍のギャラをもらえるんです。介護・福祉の世界は、聖職だと考える経営者が多いですが、お金の使い道に困っている高齢者はたくさんいます。柔軟に対応すれば、介護サービスも儲けられる。サービスの受け手がいないのは、非常にもったいないですよね」 その老人は、かつて週1回・3~4時間デートコースとデリヘルコースを組み合わせたりして同店を利用していた。多い時で約月10万円以上を同店に落としていた。 日本銀行が2021年6月25日に発表した「資金循環統計(速報)」によると、2020年3月末時点における家計の金融資産は1946兆円だ。このうち「タンス預金(現金)」の金額は100兆円を超えているとみられている。 日本は世界と比較しても現金保有率が高く、日本銀行の調べによると、金融資産のうちの現金・預金の割合は、アメリカが約13%なのに対し、日本が約54%だ。現金を持て余している高齢者は多い。